2008年11月14日

こころの声を聴く

河合隼雄の対談集。以前『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』を読んでから、河合隼雄の著書は何冊か読んだ。『こころの声を聴く』にも村上春樹との対談が収められていたので読んでみた。

まあ、ぶっちゃけ、たいして目新しいようなことは書いてなくて(そもそも10年前の本だ)、そんなにおもしろくなかった。だけど、山田太一との対談後の文章で気になったところがあった。

昔は、ある意味では現在よりも自由がなかったと言える。身分や階級などでがんじがらめである。ところが、昔は「祭」というものが、その本来的な機能を果しており、人間の深部にあるものを一挙に表面化し、各人はそれなりに自分の実存的な存在感を確かめることができた。現代はそのような本来的な「祭」の体験をすることが、ほとんどない。このため、人間の祭への希求の衝迫は一般に「病」とか「異常」とか言われるような行動となって表出される。

これを読んで浮かんだのは、ネット掲示板の「祭り」である。現代の若者が「本来的な祭」の体験を希求していて、例えば田代まさしが神って呼ばれてパーソン・オブ・ザ・イヤー投票で1位になっちゃったりしたんだけど、こういう「バカ騒ぎ」したくてしょうがないんだと思う。ほかに表出する場がないから。

あと関係ないけど、祭りって言えば蘇民祭のポスターが問題になったときも、掲示板に爆発的に貼られてたなあ。言ってみれば祭りの祭りだよね。



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