2009年2月28日

Monochrome

昔の写真が出てきたから、デジタルにしてちょっといじってみた。いい具合にみんな向こうを向いているので貼っとくわ。たぶんしょうゆが撮ったんだと思う。信じられないかもしれないけど、右端が俺。


2009年2月26日

恐ろしいネトゲ

昨日の午後、ふと「PCでゲームをしよう」と思い立った。今から思うと、そんななんでもない思いつきがとんでもない事態を招くのだなあとぞっとする。
どうせネットに繋がったPCでゲームをやるんだから、オンラインゲームにしようと、そして、なんとなくFPS(First Person Shooting=1人称シューティングゲーム)がいいかなと、検索してみた。しかし、FPSではあまりコレというのがなくて、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game=多人数同時参加型オンラインRPG)へとチェンジ。検索すると、出るわ出るわ、いくらでもあんの。ちょっと昔はこんなにはなかったよ。あっても有料のがほとんどだった。今は基本無料ってのがすごく多い。無料ゲームっていうとなんだかチャチいってイメージあるかもしれないけど(俺がそう思ってた、そして実際のところ昔はそうだった)、そんなことなくなってる。
とりあえず、「オンラインゲームはネクソン!」いうてるので、ネクソンから選んだ。2Dはイヤなので3Dを基準に。そうするとアトランティカっていうのが良さげに見えたので、登録・ダウンロード・インストールまでバババっとやった。プレイ開始。
・・・そしてはっと気づいたら、時計の針が1周していた。しかも短いほうの針が1周。なんなのだ、これは・・・。
眠くなったので止めたんだけど、これ、時間があればあるだけやっちゃうな。実際、定期ニコチン摂取と食事とトイレ以外の時間ずっとやってたわ。怖すぎる。「ネトゲ廃人」という言葉の意味を身をもって感じたよ。普通のRPGなら、ラスボス倒したら一応終わりだけど、ネトゲはエンドレス。終わりが無い。アップデートがあると、アイテム、敵、ストーリー、世界そのもの、などが追加されていく。キリが無い。怖いよこれは。
ネトゲを始める前に言っておくッ!
おれは今やつのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

『おれは夕方4時にプレイ開始したと
思ったらいつのまにか午前4時だった』

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…

催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

2009年2月22日

Googleマップが無茶をしているようだ

Googleマップが無茶をしているようだ、というのをこないだどっかで見た。突然思い出したので、ためしに千葉県―ニューヨーク間のルートを検索してみた。(自分で試したい場合はGoogle→地図→「千葉県」「ニューヨーク」とそれぞれ入力→検索!)

--------以下、結果--------

ニューヨーク, NY, アメリカ合衆国への運転ルート
15,432 km – 約 36日 3時間
千葉県
1. 北に進む
38 m
2. 右折して 国道126号線 に向かう
0.3 km
3. 国道126号線 を左折する
4.4 km
4. 左折して 京葉道路・東関東自動車道・東京 方面のランプに入る
有料区間
0.6 km
5. 京葉道路 に入る
有料区間
1.5 km
6. ランプを 東関東自動車道・首都高・東京・川崎・成田・鹿嶋 方面に進む
有料区間
0.2 km
7. 分岐点を 成田 の表示に従って右方向に進み 東関東自動車道 に入る
有料区間
2.5 km
8. 高速千葉北IC を 国道16号線 方面に向かって進む
有料区間
0.5 km
9. 分岐点を 柏・八千代 の表示に従って左方向に進み 国道16号線 に入る
一部有料区間
5.2 km
10. ランプを 国道16号線 方面に進む
0.2 km
11. 国道16号線 に向かって進む
0.4 km
12. 国道16号線 を斜め右に折れる
27.4 km
13. ランプを 柏IC入口 方面に進む
有料区間
0.6 km
14. 分岐点を 水戸 の表示に従って右方向に進み 常磐自動車道 に入る
有料区間
28.0 km
15. 高速桜土浦IC を 国道354号線 方面に向かって進む
有料区間
0.9 km
16. 分岐点を 土浦・霞ヶ浦 の表示に従って右方向に進み 国道354号線 に入る
一部有料区間
2.1 km
17. 左折してそのまま 国道354号線 を進む
3.3 km
18. 斜め左に折れてそのまま 国道354号線 を進む
0.6 km
19. 国道125号線 を右折する
0.7 km
20. 県道263号線 を左折する
1.0 km
21. 左折する
0.3 km
22. 右折する
0.3 km
23. 右折する
56 m
24. 左折する
0.4 km
25. 太平洋をカヤックで横断する
アメリカ合衆国 (ハワイ)へ
6,243 km
26. Kalakaua Ave を右折する
0.5 km
27. Kapahulu Ave を左折する
2.4 km
28. 斜め左に折れてそのまま Kapahulu Ave を進む
74 m
29. Waialae Ave を進む
0.4 km
30. 斜め右に折れて I-H1 W に入る
8.5 km
31. I-H201 W を斜め左に折れる (I H 201 W/Aiea の表示)
6.3 km
32. Pearl City 方面の I-H1 W に入る
7.8 km
33. 8A から I-H2 N に入り Wahiawa/Mililani 方面に向かって進む
12.8 km
34. 8 を Wahiawa 方面に向かって進む
0.3 km
35. HI-80/HI-99/N Kamehameha Hwy に入る
そのまま N Kamehameha Hwy を進む
13.7 km
36. Joseph P Leong Hwy を進む
3.2 km
37. HI-83 を進む
16.7 km
38. Kuilima Dr を左折する
0.8 km
39. Turtle Bay Hilton を右折する
0.2 km
40. 太平洋をカヤックで横断する
ワシントンへ
4,436 km
41. N Northlake Way で大きく右方向に曲がる
1.9 km
42. NE Pacific St を進む
1.3 km
43. Montlake Blvd NE/Montlake Bridge/WA-513 を斜め右に折れる
そのまま Montlake Blvd NE/WA-513 を進む
0.5 km
44. Bellevue/Kirkland 方面のランプから WA-520 E に入る
9.5 km
45. Renton 方面の I-405 S に入る
5.6 km
46. Spokane 方面の I-90 E に入る
アイダホ通過
モンタナへ
1,313 km
47. I-94 E を進む (I-94 E/Bismarck の表示)
ノース ダコタ通過
ミネソタへ
1,326 km
48. 左側の出口から I-694 E に入る
38.4 km
49. 58B を Madison 方面の I-94 E に向かって進む
0.6 km
50. I-94 E を斜め右に折れる
ウィスコンシンへ
399 km
51. I-90 E を進む
一部有料区間
イリノイ, インディアナ通過
オハイオへ
734 km
52. I-80 E を進む (I-80 E/I-90 E の表示)
有料区間
123 km
53. 218 を I-80 E に向かって進む
有料区間
1.4 km
54. 分岐点を I-80 E に向かって左方向に進む
有料区間
0.4 km
55. 分岐点を I-80 E/Youngstown の表示に従って左方向に進み I-80 E に入る
一部有料区間
7.3 km
56. 左側の出口から I-80 E に入る
ペンシルベニア通過
ニュー ジャージーへ
595 km
57. 47A から I-280 E に入り Newark 方面に向かって進む
一部有料区間
27.9 km
58. 16E を Lincoln Tunnel 方面に向かって進む
有料区間
1.2 km
59. I-95 N に入る
有料区間
5.6 km
60. RT-495 E を斜め右に折れる (Lincoln Tunnel の表示)
一部有料区間
ニューヨークへ
7.2 km
61. Dyer Ave を斜め左に折れる (42 St/Hwy 9A/34 St/I-495 E の表示)
0.4 km
62. W 42nd St を右折する
0.7 km
ニューヨーク, NY
アメリカ合衆国

ルートおよびその他の情報は参考情報としてご利用ください。実際の状況は、混雑具合や工事、天候等の影響を受けることがあります。移動時は実際の標識や案内板等に従ってください。

--------ここまで原文ママ(フォントは多少変更あり)--------

いやー参った。推定時間約36日3時間て。全行程約15,000kmのうちのべ1万km以上をカヤックて。途中から(行程21番目あたりから)説明がいきなり投げやりになったり。

もうあれだな、グーグルあたりの天才集団からしたら、太平洋くらいカヤックで渡れるっしょ?的な感覚なのかな。

とにかく、海外旅行の際にはまったく参考にならないGoogleマップでした。

2009年2月19日

日本の歌を歌ういろんな人たち

YouTubeにどっさりあったのでいくつか紹介します。
↑歌い手と聴き手の温度差がたまらんです。
↑運転しながらノリノリで歌ってて、こっちまで楽しさがうつるw。サビに差しかかってからのヴォルテージの上がり具合が素晴らしいです。
他にも、アニメに限らず日本の歌を歌う人がたくさんアップロードしてて、うん、いいです。英語の部分の発音が上手い(そりゃそうだ)ところなんかも注意して聴くとおもしろくて、ディープ。

[図解]相対性理論と量子論

コンビニでたまたま見つけた。物理はまったく勉強したことがなかったけど興味はあったのと、タイトルのアタマに[図解]とついていて一般向けっぽかったこと、それに500円というところに惹かれて買った。それはけっこう前(たぶん去年の秋くらい)だった。でも他に積ん読もあったし、俺の「ツンドクトリアージ」に従ったところ、後回しになった。で、先日『理性の限界』(参照)を読んで、そろそろかな、と相成りました。

フランクリーが言うには率直に言って、この本のターゲットとする読者像が曖昧。ホームズのパロディ・ストーリー仕立ての導入と図解で(板書のように)わかりやすく示そうと努めるがゆえに、相対性理論と量子論をちゃんと把握したい人には物足りない。まあもちろん、とことん知りたいのに物理学の本をコンビニで求めるって人は少ないだろうけど。じゃあ、小中学生でも読めるのかというと、たぶん大方無理だろうな。すくなくとも義務教育の「理科」は予備知識として持っておかないとチンプカンプンだと思われる。な・の・に、イラスト図解部分はいかにもお子様向け、っていう。どうしたいんだよと。

擁護する側に立つと、それでも現実に買ってくれる人がいる、ということになる(何を隠そう、俺がそう)。今手元にあるのが第9刷だから、少なくともそれなりには売れたというのも事実。だから別に買ったやつがどうだとか、読んだやつがどうだとか、著者が、出版社がどうだとか、そんなんはいいの。

たぶん俺が肩透かしをくったように感じたのは、やはり『理性の限界』の後に本書を読んだことがいちばん大きな原因だと思う。『理性の限界』はね、文系ですっつって申し訳なさそうに生きてきた俺には程よい内容だったよ。刺激というか知的好奇心をくすぐるというか、とにかくちょうど良かったんだよ。だから本書をその後に回してしまって、これは不運だったんだと。積ん読にはそういうリスクもある。

えーと。

おもしろかったのは、終わりのほうでちらっと出てきた量子コンピュータでしょうか。ほんとにちらっとなので、もう少し知りたいと思い、検索してみた。すごいね、量子コンピュータができたら。現在のコンピュータが処理するのに数億年(この数字は情報元によってまちまち)かかる計算を、量子コンピュータなら数秒で処理できるとか。うーん、すごいね。

まあ、しばらくは小説を読みます。



2009年2月17日

CR 加山雄三

数ヶ月ぶりにふらふらっとパチンコ打ってきました。久しぶりだったのに新機種がそんなに出てなくて、新世紀エヴァンゲリオンとか天地を喰らうなどといったスロットとパチンコスター・ウォーズをやってみたけど、まあ、分かっちゃいたけど、新鮮味もへったくれもなく、エヴァにいたっては天井まで連れて行かれた挙句黄色ビッグとさんざんでした。

やっぱり、こんなもんだよなあ・・・と思って帰ろうと思ったんですが、乗りかかった舟だということで、CR 加山雄三っていうパチンコを打ってみました。

芸能人関連のパチンコって、倖田來未とかありましたけど、基本的にディフォルメのアニメキャラの図柄で、激アツのときや大当たりラウンド中に実写でご本人登場→歌う→キタ――(゚∀゚)――!!、ってな具合で楽しむわけですね。だから、倖田來未の大ファンじゃなくとも、実写演出は嬉しいもんです。で、加山雄三なんですけど^^;、なんかもうプレイ前からだいたい予想ついちゃうよね。しかも、どう転んでも20代の男子が喜ぶ演出になりそうもないような・・・。

・・・と自棄気味に席に座って打ち始めましたが、一向に当たらず(数字が揃わず)、今日は本当についてないなあと思っていたら、左に「若」、右に「将」、と停まりました。

こんな感じ↓
  |回|
若 |転| 将
  |中|

「もしや・・・?」と思った。そう、加山雄三といえば「若大将」ですよね。機種の下調べとか一切しないまま打っていたので予備知識はありませんでしたが、これって、真ん中に「大」が停まったらけっこうすごいんじゃね?と一人でハラハラしていたところ、きました。「大」。「若・大・将」完成!ババーン!!w

おおー!なにこれ!いったい今から何が始まるの?!とちょっとコーフン。そして「若大将モード突入!」とのこと。突確でした。突確とはいきなり確変に入ることです。確変というのは確率変動、つまり大当たり確率がグンと上がりしかも大当たりが出るまで持ち球が減らない状態で、早い話が「大当たりが約束された状態」です。

そこからなんだかんだで6箱積んでひと安心して帰りました。いやー、まさか俺が加山雄三にコーフンするとは思わなんだわ。実写の加山がエレキ持って出てきて何故か嬉しくなっちゃった。まったく興味なかったのにw。

おまけにリーチ時に流れる歌と大当たり中の楽曲紹介の字幕、加山雄三ヒストリーなどなど、帰るときにはかなり加山雄三についての知識がついてました。はからずも。たとえば、本名は池端直亮(いけはたなおあき)なのに、祖母が何故か勝手に「清貴」って呼んでて、幼少の加山雄三がそれをうまく発音できずにいたことから「キョランタ」というあだ名になったとか、マジどーでもいい情報ばかり詰め込んで帰りました。

でも、曲はけっこう好きになったかもしれない。エレキのサウンドも好みだった。

「CR thee michelle gun elephant」とか出たら毎日通うかも。たぶん出ないけどw。

おまけ:加山雄三メドレー(需要あんのか?w)



おまけのおまけ:thee michelle gun elephant - lily


2009年2月14日

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性

私たち人間は、何を、どこまで、どのようにして知ることができるのか?いつか将来、あらゆる問題を理性的に解決できる日が来るのか?あるいは、人間の理性には、永遠に超えられない限界があるのか?従来、哲学で扱われてきたこれらの難問に、多様な視点から切り込んだ議論(ディベート)は、アロウの不可能性定理からハイゼンベルクの不確定性原理、さらにゲーデルの不完全性定理へと展開し、人類の到達した「選択」「科学」「知識」の限界論の核心を明らかにする。そして、覗きこんだ自然界の中心に見えてきたのは、確固たる実在や確実性ではなく…。
目次
序章 理性の限界とは何か
選択の限界/究極の限界値/科学の限界/知識の限界/ディスカッションのルール

第一章 選択の限界
1 投票のパラドックス
コンドルセのパラドックス/ボルダのパラドックス/アメリカ合衆国大統領選挙の矛盾/フランス共和国大統領選挙の矛盾
2 アロウの不可能性定理
コンドルセ勝者/複数記名方式と順位評点方式/パウロスの全員当選モデル/完全民主主義の不可能性
3 囚人のジレンマ
タッカーの講演/ウォーターゲート事件/繰り返し囚人のジレンマ/コンピュータ・コンテスト
4 合理的選択の限界と可能性
ミニマックス理論/ナッシュ均衡/チキンゲーム/社会的チキンゲーム/集団的合理性と個人的合理性

第二章 科学の限界
1 科学とは何か
科学と理性主義/天動説と地動説/ラプラスの悪魔/ハレー彗星の予測
2 ハイゼンベルクの不確定性原理
光速度不変の原理/相対性理論/ミクロの世界の不確定性/実在的解釈と相補的解釈
3 EPRパラドックス
実在の意味/二重スリット実験/神はサイコロを振るか/シュレーディンガーの猫
4 科学的認識の限界と可能性
進化論的科学論/パラダイム論/方法論的虚無主義/何でもかまわない

第三章 知識の限界
1 ぬきうちテストのパラドックス
集中講義の疑問/エイプリル・フール/オコンナーの語用論的パラドックス/スクブリンの卵/クワインの分析
2 ゲーデルの不完全性定理
ナイトとネイブのパズル/命題論理/ナイト・クラブとネイブ・クラブのパズル/ペアノの自然数論/述語論理と完全性/自然数論と不完全性/不完全性のイメージ/真理と証明
3 認知論理システム
ゲーデル数化/認知論理/ぬきうちテストのパラドックスの解決/認知論理と人間理性
4 論理的思考の限界と可能性
神の非存在論/テューリング・マシン/ティーリング・マシンの限界/アルゴリズム的情報理論/究極の真理性Ω/合理的な愚か者

おわりに
参考文献
さまざまな領域での、現在の時点での人類の到達点とその限界、そして可能性を、それぞれの立場の人たち同士のディスカッションという形式でざっと網羅した本。物語ではないのであらすじも当然ない。そこで目次を引用してみたわけだが、はっきりいってとっつきにくい印象を感じるかもしれない。中身はそんなに難しくないです。一般の人間も参加するシンポジウムという設定なので、専門用語は極力使わないように書いてあるし、使うときはわかりやすく説明がある。だから大丈夫。むしろ、この目次を読んで中身が把握できる方の場合、本書は必要ありません。大学の図書館で専門書を紐解きましょう。

第一章ではアロウの不可能性定理について書かれています。詳しい説明は読んでもらうとして、要するにこれは「完全に公平な投票方式は存在しない、したがって、そのような投票方式に依存する完全民主主義も存在しない」ということです。これを元に「選択の限界」を明らかにします。人間が生きるうえで選択は避けることはできない、いやむしろ、生きることは常に選択の連続であるとも言え、この問題を考えることはヒッジョーに有益。

第二章ではハイゼンベルクの不確定性原理について書かれています。詳しい説明は読んでもらうとして、要するにこれは「あらゆる観測精度には限界がある」ということです。これを元に「科学の限界」を明らかにします。個人的には量子論的実在の解釈がおもしろかった。水素の原子核の周りには一個の電子しか存在しないが、この電子は、原子核の周囲の至る所に存在し、いわば周囲を満たしているという。なんか、カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』を思い出したわ。

第三章ではゲーデルの不完全性定理について書かれています。詳しい説明は読んでもらうとして、要するにこれは「どんな完璧なシステムにも穴がある」ということです。まあ、まったく意味不明かもしれませんが、たとえば、数学の世界の真理で未知の領域があり、それをいつかは誰かが解明してくれるだろうと我々は漠然と考えたりするわけですが、数学といえどシステムである以上、永遠にたどり着けない領域があることをゲーデルは証明してしまったのです。

著者の高橋昌一郎氏が論理学・哲学の専門家であることから、極端な話、「屁理屈」です。ただし、間違いじゃないし、嘘でもないんだなあ。マジなの。

でも考えてみたら、ある程度いろんなことが可能になってきたら、「これは無理、それも無理」っていうふうに線引きをしていかないといけないんだよね。

ただ、歴史をみれば分かるように、常識は覆ることがあるから、もしかしたらまだ、どんでん返しがあるかもね。それを踏まえたうえでも、今現在の人類の到達点を分かりやすく紹介する本書はグッド。2008年6月に出たばかりなので、まあ新しいと言えるんじゃない?



ポトスライムの舟

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞作。(Amazonより)
この作品に言及しているブログをばあーっと読んでたら、頭が固いというか、いわゆる「古い」考えを持ったオッサンがいたわ。そのオッサンの意見を一言でまとめると、「こんなのが芥川賞とかありえない」。もうね、馬鹿かと。なんか、どっかの大学で教えてる人らしいんだけど、こんなオッサンに文学について教わりたくないわ。「その時代その時代の世相を書いてるだけじゃ芥川なんかもったいない」みたいなことまでぬかしてて、まあ、それだけならあながち間違ってはいないんだけど。芥川賞選考委員の宮本輝が言うように、この作品は「文学として普遍の力を持っている」と俺は思うよ。まあ人それぞれ、って言ったらお終いですけど。

主人公のナガセは29歳の女性で、大学を卒業して企業に就職するも、そこでの「気違いじみたパワーゲーム」を苦にして辞め、少し期間をあけて、今は工場のラインで働いている。他に、友人のカフェ、老人向けパソコン教室でのアルバイトや、家でデータ入力の内職もしている。いわゆる「就職氷河期」世代であるところに、同年代の俺なんかは親近感を通り越して切実さのようなものまで感じてしまったわけだが、そんなの抜きに、つまり他の世代が読んでも、(共感こそ覚えずとも)この作品にはなんらかの価値を見出すことはできるんじゃないかと思った。

つつましやかに淡々と生きている人のお話で、読後感もわりとさっぱりしていてかつじんわり沁みる。

性描写や暴力表現など、いかにも一昔前の純文学にありがちな部分がほとんどなくて、それが選ばれたことを鑑みて、「芥川賞もまだまだ捨てたもんじゃないじゃん」と思った。先のオッサンはたぶん、「純文学とは~」みたいな概念が固定されちゃったんだろうね。斬新さが斬新であるゆえに陳腐となった状況についてこれなくなったか、あるいはもともとついていく気がなかった(斬新さとか刺激大好き、みたいな)か。どちらにしても、今となっては古くて固い頭になってしまったんだろう。

まあいいや。オッサン叩いても始まんねー。

えーと。

俺はこの作品は単行本を読んだ。単行本には表題作「ポトスライムの舟」のほかに、それより前に発表された「十二月の窓辺」が併録されている。これら二つの作品は内容がすごく対照的に見える。「十二月の窓辺」は、読んでて辛くなるようなかんじ。淡々と書かれた「ポトスライムの舟」の中の「気違いじみたパワーゲーム」をごりごり書いている。

名前こそ違えど、「ポトスライムの舟」の主人公ナガセは、「十二月の窓辺」の主人公ツガワの「その後」であるように読めた。というより、そう読まないとこっちの身が持たない。
  • 「ポトスライムの舟」→「十二月の窓辺」
  • 「十二月の窓辺」→「ポトスライムの舟」
  • 「ポトスライムの舟」のみ
という読み方、つまりどういう経路にしても「ポトスライムの舟」を最終的には読んでいるという読み方をすれば、まだ救われる余地があるし読む価値がある。しかし、
  • 「十二月の窓辺」のみ
という読み方をすると、もうこれは、先に述べた「一昔前の純文学」に成り下がるだろうなと思った。だからこそ、著者である津村記久子は2007年に「十二月の窓辺」を発表したあと2008年に「ポトスライムの舟」を書いたのだろうし、書かざるをえなかった、そして、そこまで書いたからこそ、(三度目の正直で)栄えある芥川賞を受賞するに至ったのだと、なんとなく思うなあ。

まあ、「ポトスライムの舟」単体でもじゅうぶんだけど。



ここから余談ですが、津村記久子氏はカート・ヴォネガットに少なからず影響を受けたようです。本作ではあまり顕著になってませんけど。うーん、見る目あるなと。

2009年2月9日

PLUTO

浦沢直樹のマンガ。連載中。連載中なのに俺がこうやって書くことはあまりない。しかも浦沢作品だと、20世紀少年のときにも書いたように、「連載中が面白い、完結後はたいしたことなくなる」可能性がより高くなるからだ。

しかし、『PLUTO』だけは別だ。何を隠そう、これは鉄腕アトム「地上最大のロボット」が土台なのだから。手塚治虫の原作を浦沢直樹がマンガ化した(→マンガをマンガで、つまりリメイク)。ということは、細かい寄り道はあるにせよ、ストーリーの大きな破綻はまず考えられないだろうから、安心して読める。

浦沢が『MONSTER』で培ったサスペンス、『20世紀少年』のSF要素、その集大成に神様・手塚治虫の息がかかる―。

大まかなストーリーは、ある科学者が「プルートゥ」というロボットを造り、7体の世界最高水準のロボット―「モンブラン(スイス)」、「ノース2号(スコットランド)」、「ブランド(トルコ)」、「ゲジヒト(ドイツ)」、「ヘラクレス(ギリシア)」、「エプシロン(オーストラリア)」、そして「アトム(日本)」―の破壊を目論む、というもの。

原作と大きく異なるのが、この作品の主人公をドイツの刑事ロボット・ゲジヒトに据え、彼の視点から描いている点だ。(アトムに至っては第1巻のラストでやっと登場する)

はじめに述べたとおり、これは現在連載中なので、「読んでいる間だけ面白い」浦沢作品を面白いうちに読むなら、これしかないし、今しかない。『MONSTER』『20世紀少年』をリアルタイムで捉えらず後悔した俺は、『PLUTO』の続きが楽しみで仕方ない。

関連リンク:

2009/02/09現在、第6巻まで既刊。
02/21に第7巻(豪華版)、02/27に第7巻(ビッグコミックス)が出ます。

空中ブランコ

伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。 (Amazonより)
イン・ザ・プール』に続く、精神科医・伊良部シリーズ第2弾。章立てと患者は、
  • 空中ブランコ(サーカス団員)
  • ハリネズミ(やくざ)
  • 義父のヅラ(精神科医)
  • ホットコーナー(プロ野球選手)
  • 女流作家(小説家)
の5本。

白眉はなんといっても、「義父のヅラ」。主人公の患者がなんと自ら精神科医であることもさることながら、タイトルからして可笑しい。しかし、だからこそ俺みたいなエセお笑い通は構えてしまう。あからさまにウケ狙いじゃん、と。読んでみるとやはりウケ狙い・・・なのだが、これが面白いのだ。伊良部シリーズ全体に言えることかもしれないが、患者の疾患が深刻であれば深刻であるほど(不謹慎ながら)面白い。

シリーズのお約束がある。
  • 初診で幾許かの不安を持ちつつ、患者が診察室の扉をノックすると「いらっしゃーい」
  • 色白の中年のデブがソファに座っている
  • 「おーいマユミちゃーん」の一声で症状に拘らず注射
  • 胸元の開いたミニの白衣を着た肉感的でしかし無愛想な看護婦マユミ
などなど。

これだけ型が出来てて、キャラの立っている作品なんだから、映像化すればウケるかも・・・と思ってたら映画化されてました。DVDも出てました。(←『イン・ザ・プール』。)さらにはスペシャルドラマ版、舞台版もあった。考えることは一緒なのね。伊良部を演じたのは、松尾スズキ、阿部寛、宮迫博之。どれもデブじゃないからイメージが・・・。でも評判は上々なので、面白さは受け継がれているんだろう。

なんとなくブルーで気が重く、物語に癒されスッとしたい、でも小難しい小説や長編は読む気が起きない、そんな方は是非一読あれ。



ここから余談なんだけど、第3弾『町長選挙』が単行本で出てて(2006)、買おうかどうしようかと迷っています。間違いなく文庫化される(たぶんそろそろ)だろうから、それまで待つか。いかんせん積ん読が消化できてないんだから。。。

イン・ザ・プール

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。 (Amazonより)

ブラック・ジャックから医者つながりで・・・てワケじゃなく、これはこれで。

いやー、笑った。小説を読んで声を出して笑ったのはいつ以来だろう?もしかして初めてかも。精神科医・伊良部のキャラが完璧な出来。人間の心の病気を扱う医者がこれでいいのだろうかと思ってしまうくらい。事実、各章ごとの主人公(患者)は診察室に入ってまず「なんなのだ、これは・・・?」と不安になっている。励ましたり諭したりするのはもちろんしないし、むしろ伊良部が患者に説教されたりする。おいおい、どっちがどっちなんだよ、とツッコミたくなる。考えてみれば、外科医ブラック・ジャックがシリアスな人間ドラマで、精神科医である伊良部シリーズがエンターテインメントのような陽気なお話っていうのがそもそものところ興味深い。

一人ひとりの患者が主人公の短編集で、かなり読みやすくて激しく笑えて痛快なので、気分がすぐれない方は読んでみるといろんな意味で癒されるであろうことを保証する。



BLACK JACK ブラック・ジャック

子供の頃、学校の図書室で読んだ。「学校でマンガが読める!」これってすごいことだった。


再び、深く感動した。

医学博士でもある手塚治虫の真骨頂。

莫大な治療費を請求する、ただし手術は神業、でいろんな意味で評判の無免許医師、ブラック・ジャックこと間黒男。大金をふんだくる悪どい医者・・・、でも読者はわかっている。彼こそが本当の医者ってことが。

金が命に代わるなら、いくら積んでも惜しくないだろ・・・、これは極端な読み方ではあるが、一言で言えばそうなる。ただし、一言で言えるものでは到底ない。この作品を読んで感じたことをすべて書き記すには、全17巻の作品以上の紙数が必要になるかもしれない。ブログの一記事で書ききれるわけがない。多くの文学作品と読者がそうであるように、この読書体験から吸収したことを自らの滋養とし、それから長い人生の端々で小出しにして生きていきたい。

それだけの価値がある作品だ。



子供と学校と携帯電話

携帯持ち込みほぼ全校が原則禁止  公立小中、許可制も半数(47NEWS)
携帯電話の持ち込みを「原則禁止」にしている公立小学校は昨年12月時点で94%、公立中学校は99%と、ほぼ全校に上ることが30日、文部科学省の初の全国調査で分かった。このうち小学校の57%、中学校の51%は子どもの安全などを理由に家庭が申請すれば持ち込みを許可していた。
文科省は同日、「教育活動には必要ない」として小中学校では原則禁止を都道府県教育委員会などに通知。携帯電話を使った犯罪被害や「ネットいじめ」が相次いでいるため、情報モラル教育の充実や家庭での利用ルールづくりの働き掛けを進めるよう求めた。
原則持ち込み禁止の小学校は2万527校で、うち1万1636校は「安全上の理由」や通話だけなど機能限定の機種に限り、持ち込みを許可。一律禁止は7922校だった。
中学校は9936校が原則禁止で、許可制は5105校。一律禁止は4537校。
高校は原則禁止が20%の887校だが、持ち込みを認めても3357校が校内や授業中での使用禁止や、下校までの一時預かりなどで制限。文科省も通知で高校は校内で使用禁止などにすべきだと求めた。
都道府県教委で持ち込みなどへの指導方針を定めているのは51%の24教委。1826の市町村教委では28%の510教委が設けていた。
2009/01/30 17:01   【共同通信】
>「教育活動には必要ない」
え?馬鹿なの?文科省大丈夫?社会に出てから必要になることを教えるのが学校じゃないの?なんで携帯を無視するの?今の子供が大人になったら、100%携帯使うでしょうに。なら、まともな携帯の使い方を教えればいい、というより、教えなくてはならないのでは。たとえば「ネット≠匿名」っていうことをちゃんと分からせればネットいじめは(無くならないにしても)減るだろうし。
授業中にケータイいじるのが問題なら、日中は通信を遮断すればいい。それには教育と携帯キャリアとの協力も必要になってくるが、キャリアにしても、全面禁止になって契約が減るよりはいいんじゃないか。
通信を遮断といっても、ジュニアケータイのように通話相手を限定する(子供とその保護者間)とか、お昼休みや放課後には、遮断中にサーバーに来てたメールを受信できるとか、その辺の線引きはいくらでも調整可能だと思う。それらは議論する価値がある。
「とりあえず授業中の今はネットとメールの送受信ができない」って分かればいじらないでしょ?しかも着信が来るとしても親からだけだとなれば。いや、授業中は保護者からの着信さえ遮断しても構わない。子供に緊急の用事ができたら、親は学校に緊急である旨の連絡をすればいいのだから。ていうかここ10年より前の小中学校って、そうだったんだから。「おい、山田、お父さんが仕事中に倒れて○○病院に運ばれたそうだ、行け」みたいな。
えーと、話が逸れたけど、とにかく、持ち込み禁止にすれば解決だと思うなよ、と。これから先100%使う物の正しい使い方を教えるのが必須だよ、と。

2009年2月2日

村上春樹の最新長編、Amazonに出てます!

こないだ村上春樹の新作が待ち遠しくてしょうがないというようなことを書きましたが、ついに出版されるようです!!

新潮社のウェブサイトによると、「村上春樹の最新長編小説、初夏刊行決定!」とのこと。「刊行予定」じゃなくて「刊行決定」ですから。

そして実に気の早いことに、もうAmazonに作品ページがありました。ソッコーでレビュー書いてる方もおられます(なんだかなあ)。


2009/02/02現在、購入はおろか注文はおろか予約すらまだできませんが、検索して日付で並べ替えても出てきませんが、予約可能になった時点でe-mailを寄越してくれるサービスは使えるようですので、ぜし!!

それにしても、「やたら長い」というわりに分冊ページ(上・下とか第1部・第2部・第3部みたいなの)が(今のところ)無いのね。。。まあ、今年の夏はアツくなりそうだ。。