2009年6月11日

1Q84: 田村看護婦

Book 2, P.168で登場する、千倉の療養所の看護婦ですが、名札に「田村」ってあります。

なんでわざわざ「田村」と名づけたんだ、としばし考えちゃった。というのは、少し前の氏の長編『海辺のカフカ』の主人公カフカ君と同じ名字だから、っていうのが一つ。それと今回の登場人物タマルのことがもう一つ。

田村とタマルって、似てるようで違うようで、でも似てる。どういうことかというと、「田+マル」と書いて鏡に映すなり裏返すなりして縦横の向きをいじると、田ムラと田マルがぴったり重なるということです。なんか説明しようとすると強引に聞こえるかもですが、やってみたらアッー!ですよ。

『海辺のカフカ』のときは、カフカ君のお母さんはとうとう出ずじまいだった。佐伯さんを仮想母として(代替です)物語は閉じるんですが。だから今回の田村看護婦とカフカ君のお母さんが云々・・・。ちょっと安直すぎるか。

でもそういうふうに受けとれなくもない名字をあえて付けちゃうところ、これはもう少し考える甲斐がありそう。

#追記
Book 2, P.447で天吾が田村看護婦に二度目に会うシーンに、「名前は思い出せない」とある。これって、ほんとうに名前がどうでもいいならわざわざ書かないことだと思う。もしくは憶えていることになると思う。「名前は思い出せない」って書いてあれば、読者はどうしてもページを少し戻して彼女の名前を確認しちゃう。

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