春めいてきたので、髪を切ってきました。
------ ここからしばらく雑談 -------
14時ごろ家を出たんだけど、店に行ったら「かなりお時間をいただくことになりますが」って言われて、まあそこは俺も待ち時間に読もうと思って本を持ってきてたから、余裕シャクシャクで「待ちます。ちなみにだいたいどのくらいでしょうか」って聞いたの。そしたら「17時過ぎには」って言うわけ。・・・えっ、てなるじゃん。春休みだし土曜日だしで混んでるだろうなとは思ってはいたけど、それはないわ。3時間弱は想定外だったわ。繁盛してまんなー・・・。でも俺、最初の段階で「待ちます。」って即答してたんだよな。困ったことに。
だからっつって律儀に待たなくても、「じゃあ別の日にします」って他の店で切ってもらっても良かったんだけど、気がついたら「じゃあ17時過ぎにまた来ます(キリッ」ってバイク跨ってた。俺βακαなの?
とりあえず何も食べてなかったのでラーメン屋さんに行った。「射っ精!!シャッセーイ!!」って威勢よく叫ばれたとき、時間が時間だけに他に客が一人もいなかったのと、そのラーメン屋さんは初めて行く店だったのと、考え事してたのとで、俺、ちょっと面喰っちゃってさ(ラーメン屋だけに)、キョドっちゃったよ。さらに「カウンターの方ドゾーッ!!」ってかまされたんだけど、その店、どうみてもカウンター席しか無いのよ。しかも全席空きで。しょうがねぇなーっつってお兄ちゃんの顔色窺ってビクビクしながら「じゃあ、ここで・・・」ってスツールを一つ選んで座った。で、流れ的に注文ってことになりますけど、イニシアチブ取り返すためには「ここでモタついたらお終いだ」って頭があったから、壁に貼ってあった写真で一番大きなラーメンがこの店のおすすめなんだろうと判断し即注文。座ってから注文まで、この間約3秒。確信したね。――「(勝った)」――誰に見せるでもない、心のガッツポーズ。たぶん俺の眼が怪しく光ったと思う。こっちもガキの使いでラーメン食べに来たわけじゃないんで。お兄ちゃんには悪いけど。って。
そこでお兄ちゃんが言ったよね。ひとこと、
「先に食券を買ってください」……(-。-)ボソッ
Σ(゚д゚lll)ガーン
えっ、てなるじゃん。え、ここ、そういうシステムだったの? で、入り口の方見たら、入ってすぐのところにでかい食券の販売機置いてあったわ。デーンて。ドア開けた瞬間に威圧されてパニクって、でもどうにか着席、注文っていう流れで確実に取り返したと思ってたけど、思えばドア開けた瞬間に勝敗は決まってたってことだよな。(取り返したって何を? 勝敗って何の? 俺βακαなの?)
FMが流れててそのDJが、実は今日は僕の誕生日なんですよ、集まってくれたみんなはもちろん知ってて来てくれたんだよね、あれ、知らないかw、みたいなこと言ってたけど俺もう完全に上の空。はやくラーメン平らげて出て行く、それしか考えてなかった。「濃い目の味が好みの方は特製しょうゆダレをお使いください」って張り紙あったけど、もうすでにちょっとしょっぱかったわ、いろんな意味で。
ごちそうさまでしたって言って急いでバイク跨って腕時計見たら、まだ全然早かった。どんな意味合いにおいても「時間をつぶした」とは到底言えない早さだった。しょうがねぇなーっつって道の向かい見たらパチンコ屋があったの。・・・もうね、わかると思うけど、他に選択肢ないよね。
なんか今日はたまたまイベントだったらしくて、人がいっぱいいた。とてもじゃないがシマの真ん中で打つ気になんてなれなかったので端台をざあーっと見て回ったよ。そしたらあったよ。パチスロ。その名も「ハードボイルド」。なんとかこの状況・形勢を持ち直すにはこれしかなかった。これも選択肢なんてなかったよね。いいんだよ、結果的に大負けだったとしても別に。それはそれで(ハードボイルドに)この状況のカタがつくっていうか、気持ちの持って行き場ができるから。まあ、もちろん勝つに越したことはないんだけど。(ちなみに先のラーメンのトッピングの味付け玉子は半熟でした)
結局英世先生3人で頑張ってくれて、何度かボーナスきた。でもなんていうか、いわゆる「遊び台」ってやつで、そんなに減らないけどかといって増えるでもない台だった。パチンコ屋さんのイベントではたいていこういう台がいくつか設けられている。それから他にもスロット当たってみたけど、どれもみんなパッとしなかった。
その頃には俺はもう、ものを考えることが億劫になってて、勝ち負けとか、さらには何と戦ってんだとか、一切合財どうでも良くなってきた。そうなると、一回転ごとのBETボタン→スタートレバー→第一リールボタン→第二リールボタン→第三リールボタンっていう操作とか、機械のちょっとしたシグナルを目と耳で読み取ることとか、ちょっと匂ったら目押しするとか、まあ一言で言うと、「パチスロを打つという行為自体そのもの」が徒労だとしか思えなくなって(普段打たない人からしたら実際そうなんだろうけど)、止めたよね。
しょうがねぇなーっつってパチンコに移った。これなら右手でハンドル握ってさえいれば、眠ってたってどんどん動いてくれるもんな。17時まであと一時間くらいだったのでとりあえず5,000円のパッキーカードを買って、玉貸しボタン押してハンドルをぐいと捻り、あとはボーっとタバコ吸ってた。オートマティックにメカニカルに打ち出されては釘に当たって弾んであっちに行ったりこっちに行ったり、運がよければスタートチャッカーに入り、でもほとんどはどこにも受け止められずに流れていくたくさんの鋼球を眺めて、ああ、もう何も考えなくていい、って考えながら(笑)。
そんなわけで、もはや自分の台だとかなんだって関係なくなってて、目の前の画面そっちのけで周りの客の様子とかその人の台のランプがピカピカ光っているのを見るともなく見てた。
そうしたら、ですよ。俺は「CR新世紀エヴァンゲリオン~使徒、再び~」を打ってたんですが、隣に座ってたメガネかけた地味めのお兄ちゃんが突然ガッツポーズしたんです。グッとやったんです。何事かと思って見てみたらシンクロ演出でシンクロ率が(たしか)400%ってなってたんです。なんだよただの暴走モードじゃねーか紛らわしいと思ってその台のカウンター見たらそのお兄ちゃん1000回転以上回してて、やっとのことでの大当たりだったんだ。納得したね。そっかそっか、そうだよなって。そんだけ熱くなってたらそりゃ脊髄反射でガッツポーズも出るよな、わかるよ、オッケー牧場!(ガッツだけに)って心の中でニヤニヤしてました。そしたら、ですよ。次の瞬間、そのお兄ちゃんが「どうだッッ!」みたいな眼でこっち見てきたんです。今度ばかりは二度目ってのもあって本当にびっくりしました。いや、別におまえさんは俺と勝負してたわけではないやん。いうたらパチンコ屋と勝負してはったんやないですか。百歩譲っても、パチンコ台と勝負してたんやないですか。少なくとも俺とではないやん。俺に勝ったわけじゃないやん。むしろ、おまえさんと俺は同じ敵と戦っているという意味で仲間同士やん。なのになんでそんな眼しはるんですか岡村さん、と言いたくなったわ。まあ、その人は岡村隆史っていう名前じゃないだろうと思ったので言いませんでしたけど。無言で自分の台に意識を戻しましたけど。
そうすると変なもので、俺も大当たりがきたんです。モノリス予告(全部点滅)からキール予告(「三度の報いの時が、今」)に発展プラスアスカ群っていう、幾分珍しい演出で。しかもそれ、パッキーの残度数ゼロになってからですからね。さあもう頃合だ、そろそろ時間的にも終わりにして髪を切ってもらいに行こうって思ってて、でも万が一、最後の最後で図柄が揃っちゃって玉が一発もないとなったら新たにパッキー買わなくちゃいけなくなるってことで5,6発だけ残して回してたときですからね。これはいつもヤメるときに行う俺流儀式みたいなもんで、今までそれでやってきましたけど、実際当たったことなんてありませんでした。万が一ですからあとの10,000分の9,999、つまり99.99%は外れるんです。その気休めのお守りみたいな、ある種強迫的な儀式が、役に立つときが現実に起きたわけです。まあ俺は「こんなこともあるときはあるんだなぁ、うん、ラッキーだな」くらいにしか思いませんでしたけど、隣のお兄ちゃんは顔真っ赤でした。なんか可哀想になっちゃいました。
でもそれだけじゃありませんでした。一回目の大当たりこそ単発図柄だったのでいよいよ帰ろうと思っていたんだけれども、その時短で、しかも時短100回のうちラスト2回転ってところで、画面が切り替わり、綾波レイ、覚醒。覚醒モードで引き戻し。しかも確変っていう。こういう流れってちょっとないよ。いうたらドラマティックでさえあるよ。もう隣のお兄ちゃんは俺の台見ながら息も絶えだえで、オシッコもらしてガタガタ震えてた。俺は平気だったんだけど。
そんなこんなで、もういい加減時間がなくなってきたのでそろそろ終わんねぇかなーと思ってたら、案の定そうはいかず、エヴァ出撃。あーもう、今度は第何使徒だよ、いい加減にしろよっつって見てたら、鈴原トウジの載ったエヴァ3号機(バルディエル)、見参。ゲンドウがそれはエヴァじゃなくて目標だっつってんのにシンジが友達を殺すなんてできないよっつってウダウダしてたら、カヲル君の4号機カットインで3号機にぶちかまし。あ、知らない人にはちょっと分かりづらいかな。でもいいや、これだけ知っといて。カヲル君はレアで、彼が出たらたいてい大当たり確定。それに加えてこの4号機リーチは確変が確定。もっと分かり易く言えば、パチンコ玉2箱分がもれなくもらえるっていうことです。どうでしょう? もう隣見られませんでした。たぶん今俺がガッツポーズでもしようもんなら、お兄ちゃん失神するんじゃないかと思って。
結局17時は少し過ぎてしまいました。時間にシビアな俺がそういうふうになるって滅多にないんですけど、まあ、17時過ぎっていうふうにお互い言ってたので、約束を反故にしたわけじゃないからいいか。店はもうすっかり空いていて、待たずにすぐ取り掛かってくれた。
-------- ここから本題 ---------
髪を切ってもらっているときは何とも思いませんでした。そのあとです。シャンプーしてくれるじゃないですか。で、なんていうか、大人の男が行く散髪屋さんって、うつぶせでシャンプーするでしょう、女性はあまり知ってる人いないかもですけど。でもいわゆる美容室って、仰向けでシャンプーするでしょう。椅子を倒して、顔に白い布を掛けて。なんかもうこのへんで、昨日観た映画「おくりびと」がチラチラ思い浮かんできちゃってさ。しかも俺のシャンプーを担当した人(最初に受付してくれた女性)がすごい丁寧で、かといって力が弱いってことじゃなくて、ものすごく気持ちいいんだ。なんかね、言葉で表しちゃうとまったくすごみがなくなっちゃうんだけどね。前の晩に「おくりびと」観たせいもあるのかもしれないけど、自分は寝てるだけなわけじゃん、ご遺体みたいに。それで、その道のプロに身を委ねて安らかな気持ちになる。美容師さんが納棺師さんで、俺が遺体で、・・・あーなんか全然言葉にできないわ。俺βακαなの? 顔を剃ってもらうのはどっちもまったく一緒だけど。まあこのへんは映画観てもらうしかないな。
この映画に関して言いたいことはいろいろあるよ。感想もそれなりにあるし、いろんな視座からの(いつもの)へそ曲がり解釈もある。たとえば主題ひとつとっても、生と死はもちろん、職業とは(職人であることの矜恃とは)、親子の和解、現代の滅びゆく田舎町、・・・などなど、捉えようによっていくらでも出てくる。そういうのを求めるなら、人が集まる掲示板みたいなところに行かれた方がいいかと思います。ついでにそこにあなたの感想も書き込んでくればなおのこといいと思います。この作品はあくまで静謐さを保ちつつ、かつ沢山の要素を盛り込んである味わい深い映画になってます。観る人それぞれが別々の、自分じぶんの個人的な何かしらをそこに認めることができるでしょう。スリルもショックもサスペンスもないけれど、そのぶん、全体にまんべんなく散らばる様々な主題を拾っていける「おいしい映画」じゃないでしょうか。
前置きの雑談の分量が多すぎてごめんなさい。あれほとんど、妄想を膨らませただけですから真に受けないでください。よろしく。