2009年6月11日

1Q84: チェーホフ『サハリン島』―『アンダーグラウンド』

Book 1, P.460に出てくるアントン・チェーホフ『サハリン島』について。チョムゲブログ: 東京するめクラブのときにはスルーしたんだけれど、『1Q84』でサハリンががっちり出てきたので。

東京するめクラブ』で村上氏がサハリンに行ったときに『1Q84』の構想みたいなものがあったかどうかはわからない。まあぶっちゃけどっちでもいいんだけど。作中の「チェーホフ観」を読んだら、これは『アンダーグラウンド』と、それに続く『約束された場所で―underground 2』を著した村上氏自身のことみたいだと思った。

P.461

(略)結果的に多くの読者を戸惑わせることになった。それは文学的な要素を極端に抑制した、むしろ実務的な調査報告書や地誌に近いものだったからだ。「どうしてチェーホフは作家としての大事な時期に、あんな無駄な、意味のないことをしたのだろう」とまわりの人々は囁き合った。批評家の中には「社会性を狙ったただの売名行為」と決めつけるものもいた。(略)

このチェーホフが、どうしてもあの頃の村上春樹その人とダブる。次ページ(P.462)後半のセリフなども同様に。

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