2009年12月27日

buy a suit スーツを買う


同僚のスミちゃんと共に大阪から上京したユキは、秋葉原駅前でスミちゃんと別れ、蒸発中の兄・ヒサシの大学時代の先輩・山口を訪ねる。ユキは、消息不明のヒサシから突然葉書が届き、記されていた住所を訪れるために上京してきたのだ。山口はひとしきりヒサシの思い出を語った後、ヒサシ宛てに手紙を書き、ユキに託す。ユキはヒサシからの葉書を手に住所地を探して行くと、そこは吾妻橋のたもとだった。数学の天才で頭が良すぎた兄・ヒサシはホームレスになっていた。隅田川を眺めながら訥々と話す兄妹。やがて二人は浅草に住んでいるというヒサシの元妻・トモ子に会いに行くことになる。煮込み通りで再会し、山口からの手紙も読む三人。トモ子が口にした言葉。店を出た後、ユキはヒサシに背広を買ってあげると言う。二人が洋品店の店先で背広を物色しているとき、傍でトモ子が…。(ウィキペディアより)

トニー滝谷」を買った人におすすめですってAmazonが、「Memories of 市川準 DVD-BOX」いかがですかっつってメール寄越してきて、2000セット限定生産ですっつうから「よし」っつって。

結局、封を開けたのは今日だったんだけれども、どれから観るよ、と、なんかどれも怖いわ、と、なってしまったよね。しょうがねぇなーっつって、遺作になった「buy a suit スーツを買う」にしてみた。あとは順番に観ればいいかなって。



あらすじは、上に引用した通りで、なんてことないわけですが、ストーリーそのものよりも、はしばしのちょっとしたセリフなんかが印象に残りました。(最近、本を読むにしても、映画を観るにしても、そういうふうなところばっかりに気を取られることが多くなってきた気がするなぁ。めんどくせぇなぁw)

頭が良すぎてホームレスになったっていう兄のヒサシですけど、はっきり言って、ちっとも頭が良いようには見えなかったです。ホームレスになったから、とかではなく。まーそんなん言うたら、じゃあ他に誰が頭が良いんだよって話になりますけど、そんでそれはまだよくわかんないんですけど。いるかいないかもわかんないんですけど。でもたぶん、そう感じれば、それでいいんじゃないかしら。身も蓋も無い言い方すれば、「所詮バカばっかり、ていうか世の中バカだけでできてる」。だからこそ、そのひとつひとつのピースの繋がり(あるいはかつての繋がり、もう戻れない「あれ」)にキュッとなる。あやうさ、というか、もろさ、というか、糸の細さ、というか、そういうもんの上でしか成り立たないよっていう、当たり前っちゃああたりまえのことなんだけど、それを映画みたいに目に見えるように示されたら、そりゃ、キュッとなるじゃんねー。

ジャケットにも引用された劇中のセリフ、
もうわたしら、
確かめ合うのやめよ・・・
だれがだれになにしたとか、
だれとどんなふうに生きなあかんとか、
生きとったらあかんとか・・・
これが屋台で語られるってところがまた、いいなぁ。

ラストのあれはちょっと意外というか、えっ?て思ったけど、そのうちわかるかもしれないなーとかわからずじまいでもいっかーとか、思いました。

本編45分というすごく短い作品だけど、そのぶん、こころに残しておきやすいと思う。



YouTubeに予告編があったので良かったら。

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