2009年11月30日

ナイト・オン・ザ・プラネット


Amazonが「これ、チョムゲにおすすめだよ!」って言ったので観てみた。

5つの都市(ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ)が舞台のオムニバスなんだけど、それら5つの話に共通することがある。

すべて夜のタクシーにまつわる話であることと、すべての物語が同時に起こっているってこと。(ただし、地理的に時差があるので時刻=時計の指す数字は違う。)モニター5個並べて全部同時に流してみたい気がする。俺が常々思ってるのはそういうことなんだよ。

チョムゲブログ: めぐりあう時間たち
(前略)
俺はどうも、こういうのが好きらしい。一人ひとりが別々に人生を歩んでいる。自分の人生では自分が主役で、ストーリーが進む。別の人の人生においては、その人が主役で、これまた別のストーリーがある。
(中略)
世界って、60億のストーリーが進行する映画なんだね。
(後略)
略した部分は、「(見ず知らずの人の人生が)相互にちょっとずつ、でも複雑に絡み合っている」のくだり。「ナイト・オン・ザ・プラネット」では、共通項こそあれ、5つの話の間にはカラミがなかった(と思う)ので。

ざっとあらすじ。

ロサンゼルス
ウィノナ・ライダーがタクシードライバー役で、乗せた客が実は映画のキャスティング担当のおばちゃん。最後にスカウトしようとするんだけど、ウィノナ・ライダーはしっかりと人生のプラン(今はタクシードライバーだけどゆくゆくは整備工になりたい、男の子を産みたい等)を持っていて、「スターになれるのよ!」とか言っても断るの。

ニューヨーク
アーミン・ミューラー=スタールがヘルムートという名の東ドイツから来たばかりのタクシードライバーのじいさん役。元サーカスのピエロで、家族はいない。黒人のヨーヨーっていう客を乗せるんだけど、ヘルムートの運転が下手すぎて交代することに(笑)。道中、お互いの名前をたずねるところがおもしろかったなあ。ヨーヨーはドライバーの名前聞いて「ヘルメットてwww」とか言って笑うんだけど、ヘルムートに名前聞かれて「ヨーヨー・・・wおもちゃの・・・w」って言われると「ちげーよ!」ってちょっと怒る(笑)。どっちもどっちじゃねーかと。んで、夜中なのに出歩いている自分の妹をたまたま見つけたヨーヨーがブチギレて家まで乗せてくんだけど、車内ではすごい口喧嘩。家族のいないヘルムートは、いいもんだなぁ、と羨む。

パリ
イザック・ド・バンコレがコートジボワール(Côte-d'Ivoire)出身のタクシードライバー役。初めは大使に会うっていう(自称)VIP二人連れ(どっちも黒人)を乗せるんだけど、こいつら、ドライバーがコートジボワール人(Ivorian、イヴォワリヤン)だと聞くと「何も見えない(Y voit rien、イ・ヴォワ・リヤン)www運転手なのにwwwちゃんと前見とけよwww」つってハイテンションになっちゃう。イザックはブチギレて二人を降ろすの。で、次に拾った客が、なんの因果か盲目の女性で・・・。車内で話をしているうちにイザックがある質問をする。「俺の肌の色は?」

ローマ
ロベルト・ベニーニがマシンガンのようにしゃべりまくるタクシードライバー役。(心臓が悪いらしい)神父さんを乗せたってことで、懺悔させてくれっつって過去の行いを並べたてるんだけど、これがみんなシモネタなの。初めての相手が野菜(カボチャ)でした、とか、次は羊でしたとか。途中で神父が発作起こしたらしくて、でもドライバーはベラベラ×2と矢継ぎ早にしゃべることに夢中でそれに気づかず、神父は死ぬ。

ヘルシンキ
マッティ・ペロンパーがミカっていうタクシードライバー役で、ベロベロに酔った男3人組を乗せる。そのうちのアキは完全につぶれちゃってて、あとの二人がミカに、アキがどんだけ不幸かを言う。そしてミカは、自らが過去に味わったもっと悲しい本当の不幸を語る。

いろんな言語が入り乱れる作品で、それがひとつのポイントにもなっているので、オリジナルの音声+好きな字幕、という視聴方法がいいと思います、自分の母国語が何であるにせよ。

宵の口のロスから始まって、雪の積もった明け方のヘルシンキで終る。いろんな夜があるんだよなぁ、と改めて思ったよ。(心も)寒い冬の夜におすすめの映画です。



ここから余談ですが、
ヘルシンキの話(マッティ・ペロンパーがドライバーのミカ役)にミカとアキっていう登場人物が出てくるんだけど、ウィキペディアのマッティ・ペロンパーの項を見ると、
マッティ・ペロンパー
提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

マッティ・ペロンパー(Matti Pellonpää, 1951年3月28日 - 1995年7月13日)は、フィンランド・ヘルシンキ出身の俳優・ミュージシャン。アキ・カウリスマキ、ミカ・カウリスマキ作品の常連だった。
とある。このカウリスマキ兄弟っていうのを俺は知らなかったんだけど、これどう考えても監督のジム・ジャームッシュの作意入ってるよね。

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