2009年11月5日

相好崩壊&絶望のふち - 宝くじ

秋口、野暮用で大きなショッピングセンターへ行ったときのこと。

バイクを停めて、さあ入ろうかと思ったら、すぐわきが宝くじ売り場だった。俺はそんなに頻繁にではないけど、そういうときだけ、たまーに宝くじを買う。宝くじっつっても、「一等前後賞何億円」みたいなのは買わない。そんな夢みたいなもんは買わない。だってほとんど100パー近く外れるから。それでも毎回日本のどこかの誰かさんが当ててはいるんだろうけど、身近で当たったっていう人の話をついぞ聞いた事がないんだから、それはつまり、相当低い確率でしか当たらない、まるで宝くじにでも当たるくらいの確率でしか当たらないっつうことなんだよ。

なのでスクラッチを買った。その場でゴシゴシ削れば当たりはずれがすぐわかる。夢も希望もない宝くじ。小銭が400円あったので2枚買った。

そしたら、俺の前に普通の宝くじ(あるいは夢)を買った小柄でかわいらしいおばあさんが、もの珍しそうにこっち見とるわけです。硬貨でシャリシャリ削っている俺を。

で、結果はというと、2枚のうち1枚が当たりでした。4等(1,000円)でした。

削りたてのそのくじをその場で窓口に出して、1,000円を受け取ると、それまで隣で見てたおばあさんが、ビクリツしてわけがわからくなったらしくて、

「アンタこれ何? 当たったの? すぐ当たりってわかるの? そういう宝くじがあるの? あらー、良かったわねぇー、いくら買ったの? え、400円? すごいじゃないの、アンタ今日いいことあるよ、頑張ってよ」

と、当てた俺本人より興奮気味に嬉しがってくれて、俺は俺で、ありがとうございます、たまに買うんですけど、けっこう当たるもんですよ、みたいなことを言って、当せん金をしまいながら、当たるといいですねって彼女に言い残し、足取りも軽くショッピングセンターへ買い物に向かったのでした。

----ここまで相好崩壊----

----ここから絶望のふち----

そんなこんなでちょっと気分よく買い物を済ませたあと、当初は予定していなかったお店などをぶらぶらしていました。どの商品もよさげに見えたのは気のせいです。

そしたら、後ろからポンポン、と肩を叩かれた。

振り向くと、さっきのおばあさんで、あらあらこんにちはとか言ったら、彼女が話し始めたわけです。それによると、彼女もスクラッチを買う気になってしまったらしく、そして買ったらしく、そしてことごとくはずれてしまったらしいんです。いくら買ったのか聞かなかったけど、ひとっつも当たらなかった、と。

別に、だからといって彼女は俺にどうしてくれるんだ、みたいなことを言うつもりはなかったようで、最終的にはさっきと同じく、アンタ今日はいいことあるよ、頑張ってよ、と言われてこっちがありがとうございますっつって別れた。

だけど、なんかさー、悪い事しちゃったな、と今でも思っちゃうんだ。だって、俺があのおばあさんの真横でスクラッチ当せんしてなければあのおばあさんは普通の宝くじ(あるいは夢)だけを買っておしまいだったわけでしょう。

こっちに他意がないときに、誰かの何かを損なうこと、あるいはじっさいには損なわれたものがなかったとしてもそういう感触が残っちゃう、これを、いやだなー、と思ったね。偶然だから避けようがないし。偶然も偶然、宝くじですからね。。

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