2009年1月5日

神は妄想である――宗教との決別

'08年から引っ張ってきましたが、昨日読了しました。

目次

はじめに

第1章 すこぶる宗教的な不信心者
 相応の敬意/不相応な敬意

第2章 神がいるという仮説
 多神教/一神教/世俗主義・建国の父たち・アメリカの宗教/不可知論の貧しさ/NOMA/祈りの大実験/ネヴィル・チェンバレン学派の進化論者たち/リトル・グリーン・メン

第3章 神の存在を支持する論証
 トマス・アクィナスの「証明」/存在論的論証およびその他の先験的論証/美を根拠にした論証/個人的な「体験」をもとにした論証/聖書にもとづく論証/崇敬される宗教的科学者をもちだしての論証/パスカルの賭け/ベイズ流の論証

第4章 ほとんど確実に神が存在しない理由
 究極のボーイング747/意識を高める道具としての自然淘汰/還元不能な複雑さ/隙間(ギャップ)の崇拝/人間原理――惑星版/人間原理
――宇宙版/ケンブリッジでの幕間劇

第5章 宗教の起源
 ダーウィン主義の命ずるところ/宗教の直接的な利点/群淘汰/何かの副産物としての宗教/宗教への心理学的な準備が整う/そっと踏んで、あなたは私のミームを踏んでいるのだから/カーゴカルト(積荷信仰)

第6章 道徳の根源――なぜ私たちは善良なのか?
 私たちの道徳感覚はダーウィン主義的な起源をもつか?/道徳の根源についてのケーススタディ/神がいなければ、どうして善人でいられるのか?

第7章 「よい」聖書と移り変わる「道徳に関する時代精神(ツアイトガイスト)」
 『旧約聖書』/『新約聖書』は少しでもましなのか?/汝の隣人を愛せよ/道徳に関する時代精神(ツアイトガイスト)/ヒトラーとスターリンについてはどうなのか? 彼らは無神論者ではなかったのか?

第8章 宗教のどこが悪いのか? なぜそんなに敵愾心を燃やすのか?
 原理主義と科学の破壊/絶対主義の負の側面/信仰と同性愛/信仰と人間の命の尊厳/ベートーヴェンと中絶にまつわる大嘘/「穏健な」宗教がいかにして狂信を育むか

第9章 子供の虐待と、宗教からの逃走
 肉体的・精神的な虐待/子供を守る/ある教育スキャンダル/ふたたび、意識の高揚を/文学的教養の一部としての宗教教育

第10章 大いに必要とされる断絶(ギャップ)?
 ビンカー/慰め/インスピレーション(霊感)/巨大なブルカ

当ブログの2008年12月24日「いいわけがましくなるよ?」を書いた時点では全部読み終わってなかったのもあって、たいして言うことなかったんだけど、それは読了した現時点においてもあまり変わらないみたいだ。っていうのは、目次からわかるように、途中までは基礎というか前置きみたいな感じなので、後半に舌鋒鋭く宗教批判がくると思ってて、むしろそれが本書の中心だと思ってたから。まあ、それもあながち間違った予想ではなかったんだけど、これだけの量(600ページ弱)読まされたのに、得られたものがあまりなかったというか、俺がもともと持っていた宗教観と著しい相違がなかった。でも俺が特別進んだ考えを持っていたとかいうのとはちょっと違って、はっきり言うと「俺が日本人だから」ってことに尽きると思われる。考え方自体は強烈でもなんでもない。目から鱗っていうこともそんなに・・・。ただそういう「考え」を膨大な固有名詞と論文とで補強してくれた、それ以上の価値は(俺には)なかったんじゃないか、そう思いました。なのでこの記事は「宗教」というカテゴリを新たに作って入れるということはせずに、あくまでいつもどおり、「読書」カテゴリに入れます。

これは日本人以外の地球人が全員読めばいいんだと思う。で、無神論者が堂々と無神論者だと言えるようになればいいと思う。こないだ言ったことを繰り返すけど、信仰の仮面をかぶった教養ある無神論者は多いんだ。わりきってやってる人はいいけど、無神論者であることで苦しんでいる人もいて、そういう人々はまさにこういう本を待ってたんじゃないだろうか。こういう本がたくさんの著者によって書かれれば、理性を持っているがゆえの苦しみから解放される人は増えるはずだ。「せーの!」の声をたくさんの人があげればいい。知が血に勝つときがくるから。第7章にあるようにツアイトガイストってのがあるから、たぶん、ボーっと待っててもそのときはくるんだろうけど。っていうか、こういう本が世界でベストセラーになってること自体が、もう移り変わり始めていることの象徴であり証明だよな。

おまけ:
イスラムの出会い系サイト(顔写真意味ねぇwww)

イスラム女性(ムスリマ)はブルカを纏い、細長いスリットからしか外の世界を見ることができない。人間が可視光線以外を直接見ることができない、可聴領域以外の音波を直接聴くことができないように。でも人間は知によって(科学によって、でもいい)スリットの幅を広げた。

そのブルカを脱ぎ捨てる日がくることを願う。



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