2009年1月30日

20世紀少年

浦沢直樹『20世紀少年』『21世紀少年』を、遅ればせながら読了。『MONSTER』のときもそうだったけど、やっぱり、浦沢直樹はエンターテイナーだ。マンガ雑誌に連載するというカタチで作品を発表するのが浦沢らしいというか、読者にとってもそういう読み方しないとダメかもしれない。
俺はマンガは基本的に「連載が終わったもの」しか読まないようにしてる。休載や打ち切りで失望した少年時代のトラウマがそうさせているのかもしれない。連載が終わって、単行本が出て(文庫本が出て)、完結したものなら安心して読める。ちゃんと終わりが来るんだ、着地点があるんだ、って。だから、亡くなったマンガ家の作品は無条件で読み始められるんだけどね。未完であっても。少なくとも「続くのか続かないで打ち切りなのかわかんない」っていう状態ではないから。
で、浦沢直樹の場合は、読んでいる間はずっと面白くて、惹きつけられて、新たな展開に驚いて、「謎」の種明かしを早くしてほしくて、あっという間に読んでしまうわけだけど、そして結局、「ある程度」満足して読了できるんだけど、読み終わった後しばらくすると全然たいした事ないなって思っちゃう。何も残らないというか。まあ、その辺は人それぞれだからなんとも言えないけど。
だけど、だから「つまんない」ってわけじゃないんだ。惹きつけられて、ページ繰るのに没頭して、いつもの半分しかタバコ吸わないで、トイレもぎりぎりまで我慢して読んじゃうくらい面白いんだ。
どういうことかというと、これは「エンターテインメント」なんだ、ってこと。それ自体を楽しんでいるその瞬間だけが面白いというか。「もしかしたらこれはすごい作品かも」っていう期待をずっと保ちながら読了できるというか。うん、その期待はほとんど裏切られるんだけど。
つまらんと思いつつ、買ってしまった義理で読んでしまった「たいしたことない」作品が、なぜだか心に残ることがある。浦沢直樹の場合はその逆だ。おもしろいと思って買って、おもしろいと思いながら読んだ「たいした」作品のはずが、喉元を過ぎると、空疎になってしまうのだ。
だから、浦沢直樹の作品のおもしろさを最大限に味わうなら、連載を毎回読むのが良いんだと思う。早く続きが読みたいっていう、ちょっとした興奮状態が連載中ずっと続くわけだから。「年」単位でね。その間ずっと面白いんだから。終わっちゃったら、終わっちゃうんだ、その興奮が。単行本大人買いで読むとなると、一日で終わっちゃう。
ほとんどのマンガはそういうもんだ、とも言える。そういう意味ではトップクラスのマンガ家だとも言える。
でも、浦沢直樹は手塚治虫にはなれないな、とも感じているこの頃。たぶん手塚治虫を目指しているんだろうなとは思うんだけど(『PLUTO』は鉄腕アトム関係だからね。名義からして、浦沢・手塚連立だし)。
で、今夜の金曜ロードショー『20世紀少年 第1章』ですが。観ます。大コケともっぱらの評判ですがw。何よりオッチョことショーグンを豊川悦司が演じるっていうんだから。それから、作中の音楽もちゃんと聴きながら楽しめるのがいいと思います。T-REX「20th Century Boy」ももちろんですが。
おまけ:
T-REX - 20th Century Boy
あとYouTubeにX JAPANが演奏する20th Century Boyも上がってました。Toshiがドラム叩いて、Yoshikiがギター弾いて、歌っているのは―
―なんと、hideでした。
あえて貼らないでおくので、観たい方はYouTubeで「20」と検索してください。

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