伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。 (Amazonより)
『イン・ザ・プール』に続く、精神科医・伊良部シリーズ第2弾。章立てと患者は、
- 空中ブランコ(サーカス団員)
- ハリネズミ(やくざ)
- 義父のヅラ(精神科医)
- ホットコーナー(プロ野球選手)
- 女流作家(小説家)
白眉はなんといっても、「義父のヅラ」。主人公の患者がなんと自ら精神科医であることもさることながら、タイトルからして可笑しい。しかし、だからこそ俺みたいなエセお笑い通は構えてしまう。あからさまにウケ狙いじゃん、と。読んでみるとやはりウケ狙い・・・なのだが、これが面白いのだ。伊良部シリーズ全体に言えることかもしれないが、患者の疾患が深刻であれば深刻であるほど(不謹慎ながら)面白い。
シリーズのお約束がある。
- 初診で幾許かの不安を持ちつつ、患者が診察室の扉をノックすると「いらっしゃーい」
- 色白の中年のデブがソファに座っている
- 「おーいマユミちゃーん」の一声で症状に拘らず注射
- 胸元の開いたミニの白衣を着た肉感的でしかし無愛想な看護婦マユミ
これだけ型が出来てて、キャラの立っている作品なんだから、映像化すればウケるかも・・・と思ってたら映画化されてました。DVDも出てました。(←『イン・ザ・プール』。)さらにはスペシャルドラマ版、舞台版もあった。考えることは一緒なのね。伊良部を演じたのは、松尾スズキ、阿部寛、宮迫博之。どれもデブじゃないからイメージが・・・。でも評判は上々なので、面白さは受け継がれているんだろう。
なんとなくブルーで気が重く、物語に癒されスッとしたい、でも小難しい小説や長編は読む気が起きない、そんな方は是非一読あれ。
ここから余談なんだけど、第3弾『町長選挙』が単行本で出てて(2006)、買おうかどうしようかと迷っています。間違いなく文庫化される(たぶんそろそろ)だろうから、それまで待つか。いかんせん積ん読が消化できてないんだから。。。
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