2009年2月9日

イン・ザ・プール

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。 (Amazonより)

ブラック・ジャックから医者つながりで・・・てワケじゃなく、これはこれで。

いやー、笑った。小説を読んで声を出して笑ったのはいつ以来だろう?もしかして初めてかも。精神科医・伊良部のキャラが完璧な出来。人間の心の病気を扱う医者がこれでいいのだろうかと思ってしまうくらい。事実、各章ごとの主人公(患者)は診察室に入ってまず「なんなのだ、これは・・・?」と不安になっている。励ましたり諭したりするのはもちろんしないし、むしろ伊良部が患者に説教されたりする。おいおい、どっちがどっちなんだよ、とツッコミたくなる。考えてみれば、外科医ブラック・ジャックがシリアスな人間ドラマで、精神科医である伊良部シリーズがエンターテインメントのような陽気なお話っていうのがそもそものところ興味深い。

一人ひとりの患者が主人公の短編集で、かなり読みやすくて激しく笑えて痛快なので、気分がすぐれない方は読んでみるといろんな意味で癒されるであろうことを保証する。



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