2009年4月29日

葉桜の季節に君を想うということ


たとえばCDをジャケ買いするように、小説のタイトルだけ見て買うっていうこともあるよね。なんて呼ぶかわからないけど。俺がこの歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』を手に取った理由の一つではある。で、桜が散った頃に読もうと思っていた。で、読んだ。けど。

「やられた!」感のあるミステリーとしてはけっこう知名度は高いよう。確かに最後の方はあちゃーやられたってなった。タイトルさえも仕掛けだったのかとかさ。でも。

主人公の、ハードボイルド気取りの言葉とか行動がちらほら出てきて(たとえば女関係とか)、でもなんだか(幼稚とか中二病とは言わないけど)若気の至り的な考え方だなぁと思いながら読んでた。パッと見、かっこよさそうで、でもどこかかっこよくないんだよね。・・・とかっていうのもすべて作者の意図だったのかしらと今になって思う。たぶんそうなんだろう。しかし。

ミスリードに最重点を置いて、それに賭けた感は否めない。それでミステリーのその分野としては、賭けは成功してる。賞もいくつか獲ったらしいし。それ以上望むんじゃねえよ、欲張んなよ、他当たれよ、お門違いだよ、こっち見んな、って言われたらそりゃそうなんだけど、やっぱり物足りませんでした。正直。

ということで、読もうかどうしようか迷ってる方には、この『葉桜――』ではなくて、我孫子武丸『殺戮にいたる病』の方を推しておきます。両方読んでもOK牧場だけど。「やられた!」感のものさしで測れば『殺戮――』。ってことで勘弁してください。

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