2009年8月8日

男子用小便器の謎

ある女性とおしゃべりしていて、何かの拍子に(どういう流れでそうなったのかどうしても思い出せない)「男子用小便器」の話題が出て、それがすごく意外で興味深くていろいろ考えさせられました。

家庭のトイレはみなさんご存知のとおりです。安心してください。で、駅であるとかデパートだとか学校などなど大きな建物では、男性用と女性用でトイレが用意されています。厳密に分けられています。これもみなさんご存知のとおりです。ただ、ですね、男性用のトイレにはさらに「大便器」と「小便器」というのがあるんです。
それではここで一つ質問します。
Q. あなたは、「男子用小便器」の構造を知っていますか?
おそらく日本人の5割くらいの方々は当然のように、
(´-`).。oO(そんなこと誰だって知ってんだろJK・・・・・・)、とか思っていると邪推しますが、実はあとの残り約半数の日本人の上の質問への回答は"NO."になるんです。
というのは、男子トイレに入った経験をもつ女性の数がかなり少ないからです。今これ読んでるあなたが男性であれば、ちょっとした衝撃ではありませんか? 俺はちょっとハッとしました。
そのおしゃべりの続きで、俺はその女性に男子用小便器なるものの仕組みをざっと説明しました。
  1. 縦長で、
  2. おへその位置くらいまでの高さで、
  3. 用を足したらボタンを押すと(大便器に比べて)少量の水が流れる、
  4. ただし新しめの小便器の場合、便器の前に立った時点でセンサーが感知して事前に少し水が流れ、用を足して便器から身体を離すと自動で水が流れる
といった按排にです。1.から3.までだけでも「へー!」ってな感じで聞かれて、4.に至っては「ハイそれはウソw」みたいなことまで言われました。
その子が無知なだけじゃねーかと思うでしょう、俺もそう思いました。なので、あとで他の女性数人に上の質問をぶつけてみたところ、みんな知らなかったんです。
こりゃいよいよだぞと、よくよく考えたところ、「男性用トイレに足を踏み入れることが仕事のひとつになりうる職業(清掃員の方は言わずもがな、ファミレスで働いたことのある方とか)以外の女性は、男子用小便器の構造を知らなくて当然だ」と相成りました。
逆パターンはね、いくらでもあるんです。たとえば年端の行かない男児が母親にデパートに連れてってもらったりしたときに「ねーおしっこしたい」となれば、「あらあら、じゃあお手洗いに行きましょう」と女性用トイレに連れて行かれます。そこで「この子は男の子だから男子トイレに行かせる」→「でも女性である私は入らない」→一人で行かせる、とはなりませんからね。ある程度モノが分かってくれば一人でも行かせましょうが、おむつが取れたばかりだとかって子にひとりでちゃんと用を足して来いというのは無茶です。場合が場合ならその男の子だって小便器の使い方わからないかもしれない。そんなわけです。
自分が当たり前に知っていること、常識だと思い込んでいることが、案外そうでもないこともあるなあと。冒頭からシモ全開でお食事中の方にはすみませんでしたが、まあトイレの話はすごく端的に伝わると思ったので。
こういうのって他にもありますよね。
例えば、自販機のジュースの缶。これは性別はまったく関係ありませんが、ある年代を境に、「知ってて当然/見た事もない」があります。何のことかというとプルタブ(プルトップ)です。プシュッと開けるあれです。あれって昔は缶を開けた後、プルトップが缶から離れたのを憶えていますか? 道端にプルトップ落っこちてませんでした? 指輪にして遊びませんでした? たくさん集めると車椅子に交換してもらえるとかいうウソかホントかわからない話をどこかから仕入れてクラスの連中と探し回ったりしませんでした? これ、今の子どもはもちろん下手すると大学生も知らないんです。そのプルトップ、今は、プシュッと開けたあと、もう一回倒して戻すプルタブになっていますから。移行期には飲みにくいなあとか不衛生だとか、でもゴミが産卵散乱しなくなっていいなあとか複雑に思ったあれが、スタンダードになってますよね。むしろちぎり取るプルトップの缶飲料なんてどこに行けば買えるのって感じです。もう少ししたら誰もこれ憶えてないってことになるんじゃないでしょうか。2009年現在で20代後半以上の方なら当然知っていること、でも、それ以外のほとんどの方は知る由も無いことなんです。
もう一つだけ例を挙げると、電話機。ここでは携帯電話ではなく、いわゆる家電(いえでん)についてです。これもジュースの缶とだいたい同じくらいのところに見えない線が引かれています。20代後半から30代あたりにピッと。それより上のオトナは、電話をかけることを「ダイヤル回す」っていう言い回しで表現してあっても何にもおかしいとも思いませんよね。というのは、ジリリリーンと鳴る電話についていた、穴の10個開いた円盤に指を突っ込んで、ジーコ、ジーコ、ジーコって回して電話をかけた経験があるからなんです。俺が何を言っているのかさっぱりわからんという方はおそらく、「電話っつうもんは12個のプッシュボタンと液晶画面がついてるもんだろうが」という現代っ子でしょう。その、「知ってて当然/見た事もない」の境がここに歴然と引かれているわけです。
なんか説明がヘタクソで申し訳ないですが、ある人にとっての「常識」(「知識」ではなく「みんな知ってて当然」と思っていることです)が、隣に座っているある人にとっては見た事もないっていう、目には見えないけれどもビシッと引かれたボーダーライン、これをすごいなと思いました。
これ深刻な話にしようとするといくらでもなっちゃう(出征経験とか)のでここらへんで止めますが、身近な話題で「そういえばこういうのも案外・・・」っていうのありましたら是非教えてください。コメント欄にでも。(匿名可。)最近個人的にヒッジョーにおもしろがっていることなのでw


#追記 2009/09/04
プルトップ/プルタブ、と区別していたんですが、どうやら間違っていたようです。
参照: プルトップ - Wikipedia #歴史と概説
これによると、
  • 1980年代から「ステイオンタブ」が広がり始めて、1990年にほとんど入れ替わった、とあります。
  • 集めたら車椅子に云々はガチみたいです。ただ、「<善意につけこむデマ>というデマ」という、マトリョーシカもびっくりの入れ子構造都市伝説にまでなったようで、ややこしいです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

15年位前は普通電車の中に当たり前に灰皿がついてて電車ん中でたばこが吸えたとか?

ゲームボーイは白黒画面だったとか?

チョムゲ さんのコメント...

>けーこ
そういえば電車内の灰皿、見ないねえ!ボックス席とかには付いていたのにね。

液晶画面は今でもモノクロのがあるから、初代ゲームボーイを知らない世代でも予想できるかも。

年齢に関係ないようなケースはないかしら?

女性の方へ:ちなみに「ビデ」は男性でもたいがい知ってますのであしからず。