2009年6月7日

1Q84: 気になる続編の可能性

1. 発売時の新潮社の売り文句を鵜呑みにするのであれば、
「全2冊」なので完結

2. 入手して実物2冊を見ると、
・「上」「下」ではなく、「Book 1<4月-6月>」、「Book 2<7月-9月>」
・ねじまき鳥クロニクルの例がある(→チョムゲブログ: 『(1+2)+3』の作品
などから、
(例えば)「Book 3<10月-12月>」「Book 4<1月-3月>」もありうる。Book 5以降だってあるいはありうる。(発売前の村上氏の「やたら長い」発言からしても大いにありうる)

3. Book 1, P.159のタマルの言葉
「どこかに必ず最後はあるものだよ。『ここが最後です』っていちいち書かれてないだけだ。ハシゴのいちばん上の段に『ここが最後の段です。これより上には足を載っけないで下さい』って書いてあるか?」
Book 1、Book 2を読み終わって、一応目の前のハシゴは登りきった。もちろん、「ここが最後です」とは書かれてなかった。だから読みながら「もしかしたらBook 2を読み終わる前のどこかで終わってるのかもしれない」とも思った。

だから現時点で「1+2」だけを読んでどうこう言っても良いんではないかと。

4. Book 1, P.368で『平均律クラヴィーア曲集』についてちょこっと書いてある。
全部で二十四曲。第一巻と第二巻をあわせて四十八巻。完全なサイクルがそこに形成される。

ここから余談だけど、
「ヱヴァンゲリヲンは序破急(+α)そろってから」っていうのは(→チョムゲブログ: 破)、それがみんな集まってやっと一つの作品(起承転結みたいに)だと前もって知らされているからです。ハシゴのアナロジーでいくと、初めに最後の段がどこになるのか教えてもらったってところでしょうか。(急にヱヴァ持ってくんなよって? っせ)

2009年5月31日

1Q84: 000

昨日の午後届いた。

さっそく読み始めて、読みながら「これは後でブログで書くべ」ってところにポスト・イットを貼ったり、メモ帳と呼ぶには大きすぎる無地の紙に、ポスト・イット上には書ききれないことを殴り書きしたりして、半分くらいまで読んだ。

休憩、と本を閉じたときに、「うわw」ってなった。なぜか? それはこの写真をご覧ちょ。




布のしおり(新潮のこれが好きだぜ)がちらっと見えているところ、そこまで読んだ。つまりそれより手前の半分が読了したと。半分でポスト・イットこの量。人生で生まれて初めて「やれやれ」って言いたくなった。

とにかく、読み終わったら「001」から書きます。ちょっとね、ややこしい現実があるので、すぐってわけにはいかないかもしれません。しれませんけど、待っててください。トールラテ飲んで、待っててください。部屋の模様替えして、待っててください。新しいCDを聴きこみながら、待っててください。先に中ジョッキ飲んで、待っててください。お通しカットで。

2009年5月28日

はやく起きた朝は・・・('09/05/17放送分)での一コマに思ったこと

なんとなく雰囲気が好きで「はやく起きた朝は・・・」(フジテレビ系)を楽しみにしているチョムゲです。

1994年の開始以来、
「おそく起きた朝は・・・(おそ朝)」(9:30-10:00)
「おそく起きた昼は・・・(おそ昼)」(13:30-14:00)
「はやく起きた朝は・・・(はや朝)」(6:30-7:00)

と、いろんな変遷を辿りつつ15年の長きに渡って放送されている番組です。

由美さん、貴理さん、直美さんの3人が、視聴者からの不平不満愚痴ハガキを読みながらトーク、というのが中心。ラジオっぽい、というのが俺の感覚です。



まあ、紹介はこれくらいにして本題に入りますけれども、こないだ5月17日放送分を録画してあったのを観ていたらちょっと「おっ」ってなったところがありました。

番組の終わりの方のハガキで、内容は「旦那が水槽と金魚を買ってきたが、結局私(投稿者)が世話をすることになりイライラします」というようなものでした。

これだけなら「なーんだ」とか「ふーん」と思っちゃうところなんですが、ここはさすが由美さん貴理さん、「ペットが夫婦の仲をとりもつってこともあるよ」って方向に持っていった。

順調にトークを進める由美さん(左)と貴理さん(右)と、
話の流れから、普段誰も注意していない水槽(画面右奥)を見遣る直美さん(右)



そのとき!

何かに気付き、スタッフに目で訴える直美さん

話をまとめに持っていこうとしていた二人に水槽を指し示す

見ると、一匹の金魚が水槽の壁とチューブのあいだにはさまれているではありませんか!

すぐさま救助に入る

事無きを得た金魚



「ああああー、良かったあああーー!良かったあああー!」
と3人は胸を撫で下ろし、

「由美ちゃんが読んだから(助かったん)だよ!」
ってなって、

「(元はと言えば)その旦那さんが金魚買ってきたからだよー」
という流れに。


これはさ、言い方がすごく難しくて上手く伝える自信があんまりないんだけど(先月、先々月あたりからこのチョムゲブログを読んでくれてる方なら分かってもらえるかな)、「そういうこともある or そういうことなんだよなぁ」ってしみじみ思ったよ。ましてや今回は生死がかかっちゃってたからね、結果的に。

何が何にどう結びつくかなんて、これだから、わからん。

2009年5月27日

忙しくてゲームを探している暇がない人のためのチョムゲのオススメ6(+α)タイトル

このブログは今のところ、「ゲーム」というカテゴリがない。俺はゲームも好きなのでゲームカテゴリを作っちゃおうかとも思うんだけれども、とりあえずは日記カテゴリに入れておいて、折を見て設けます。
ということでおもしろかったのをいくつか(定番含む)書いておくので、「ゲームやりたいんだがオススメある?」っていう人は参考にしてよね。
  • シンプルなルールであるのに奥が深く、ハマり度大。
  • Wi-Fiはいつも人がいてすぐ対戦可能。世界中の人がやってるからかも(そこには言葉の壁など存在しない)。変な人はあんまりいない。
  • ワイヤレスの対戦(ダウンロードプレイ)だと、1枚のソフトで10人対戦とかできちゃう。
  • これもシンプルな部類になるけどやっぱりハマる。
  • Wi-Fiは「こくないのだれかと」にすると、ときどき変な人がいる。
  • だからDSを持ち寄ってのダウンロードプレイ(8人まで可能)がオススメ。
  • 3歳の子でもできる(実証済み)。
  • 音楽に合わせてタッチ&はじく、というシンプルな音ゲー(?)。
  • 大合奏バンドブラザーズDXよりも万人向けな気がする。
  • しょうゆ君の大変さと気持ちよさが理解できた気になる。
  • コピー「最後の一撃は、せつない。
  • すごく幻想的な、ゼルダの伝説みたいな世界、それにモンスターハンターっぽいゲーム性を合わせたような作品。
  • 16体の巨像を倒していくんだけれども、それら以外の敵キャラ(いわゆる雑魚)が出てこないところが特徴。賛否両論あるけど俺は「賛」。
  • 巨像にがっちりしがみつく感覚がとっても良い。
  • ICOのスタッフが作ったらしくて、ICOもやろうかと思ったら価格が暴騰しちゃってて、なんのためのベスト版だよと思いました。ダラがやってた気がするので、もしまだ持ってたら貸してください。
  • 3Dゲームファンのための「ワンダと巨像」グラフィックス講座を読んだらもっと感心しました。日本人って根本的に職人気質なのかな。
あとまだ途中のゲームもあるので近いうちに書くと思います。
ここから余談なんだけど、
Windows Vista Service Pack 2 (SP2)がきたね。Google Chromeも2.0になったね。

2009年5月16日

しつこいようですがまたまたたまごばなし(動画あり)

昨日、近所のスーパー行ったんです。金曜日はたまご1パック98円っていうのをやってるので、ほとんどそれ目当てで行ったんです。あとはついでだったんです。

でも、あまりに人気があったのでしょう、俺が行ったときには売り切れてました。(スーパーでたまご売り切れってw)

水曜あたりにたまごが切れたのに金曜まで我慢しようっつってこれだからやんなっちゃうよ。しょうがねぇなーっつっていつも通りの買い物をして帰りました。

ところが、どうしたことでしょう、今日(土曜日)に、ひとがうちにいらしたのですが、その人がたまごをくれたんです!二十数個!ロハで!しかも、けさ産みたてだっておっしゃるじゃあありませんか!

人間万事塞翁が馬、昨日98円セールで買いそびれたたまご、翌日には2倍以上の量がタダでもらえてしまった。

ということで、冷蔵庫の扉のたまごを入れるところ(あれ何ていうのかしら?)に嬉々としてしまってたところ、「規格外」のたまごを発見。産みたての貰い物ですから、そういうこともあるんですねー。

で、これが写真。
左が普通の大きさのたまご。右が「規格外」。スーパーでパック包装されたたまごを買っていたらまずお目にかかれない。(パックに入らないw)



なんじゃこりゃーwっつって、もっとテンション上がってきた。

で、ムラムラっときたわけです。これはもしかするともしかするぞ。。。

当ブログ参考記事:

あれからふた月、これはきたんじゃないのかと。この大きさならたぶん双子なんじゃないのかと。ちなみに鶏のたまごってS・M・Lとかってサイズ分けされて売ってますが、あれって、卵白の量が多いか少ないかっていう違いなんだってぞ。卵黄の大きさは一緒なんだと。だから(メレンゲとか)卵白がたくさん必要な場合はLサイズたまごを購入するのが良いんですってよ。逆に卵黄を使いたくてたまごを買う場合はSサイズを。

えーと、話が逸れたね。

とにかく、これは割ってみよう!ってなった。
「おばあさんや、こんなに大きなたまごがあったよ」
「あらおじいさん、これは大きなたまごですねぇ、割ってみましょう」って、桃太郎の老夫婦かw
山にシバカレに行って来いよ、ってやかましいわwww

えーと、また話が逸れたね。

今回はもう、確信めいたものが芽生えてきていたので、デジカメを用意して、まず、割る前に比較写真を撮った。極度の興奮に震える手をオートフォーカスが庇ってくれた。もうほとんどこいつの中には卵黄が二つ入っている、そう信じて疑わなかった。

てことで、割る瞬間をムービーで。(音声は出ません、約12秒です)







キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!


っていうか逆に安心した。これで卵黄1個だったらと思うとそっちのほうが怖いわ。



たまごばなしは尽きない・・・。


長いお別れ


レイモンド・チャンドラー(Raymond Chandler)『長いお別れ』(原題:"THE LONG GOODBYE")(清水俊二訳)。おととし、村上春樹の新訳が出て(これは邦題『ロング・グッドバイ』。)、去年その軽装版も出た。一部でチャンドラー人気が再燃したようだ。

以前村上さんのエッセイかなんかで、『カラマーゾフの兄弟』『グレート・ギャツビー』『ロング・グッドバイ』の3作が目指すところなのですみたいなのを読んだ。『カラマーゾフ』は前に書いたようなわけで、手は付けたけれども俺にはまだ早かった。『グレート・ギャツビー』は野崎孝訳を読んだ。これは掛け値なしにおもしろかった。ということで『ロング・グッドバイ』いってみよー!と。

ここで、分かってる人は分かっていると思うけれども、『ギャツビー』にしても『ロング・グッドバイ』にしても、村上春樹が新しく翻訳したのが出てるんだよね。では、なんでチョムゲは村上訳を読まないんだ、っつう話になると思う。清水俊二訳も野崎孝訳も、発売されたのはもうずっと昔のことで、まあ、誤解を恐れずにはっきり言うと「古い」バージョンっていうことだ。村上さんが現代日本語訳の筆を執ったのもひとつにはそういうこともあるのだろう。

これにはいいわけがあって、名作が名作と呼ばれるにはそれなりの理由があるからだ、手短に言うとこうなる。みんなが名作だと言って、では、って村上さんが新訳を書くもとになったのが、清水・野崎訳だと思うの。もちろんオリジナルは英語で書かれたものになるんだけど、そんなことを言ってるんじゃなくて、日本で読者を獲得したのは原文じゃなくて旧訳だってことなの。たぶん村上版新訳もそれぞれすばらしいんだと想像できるよ。おそらくその通りなんだろう。でも俺だってその源流たる旧訳の体験がしたかったの。俺漏れも、なの。新訳はあとで味わいの違いを楽しむためにとっときたいの。『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も村上訳じゃなく、野崎孝訳の『ライ麦畑でつかまえて』を先に読む感覚、って言えば分かってもらえるだろうか。



えーと、前置きが長くなったけれども、『長いお別れ』です。恒例のポスト・イットからいくつか。

  • P.327に「マルホランド・ドライヴ」という道路が出てきて、ビクリツした。2009/04/02の記事で書いたばかりの映画だったから。偶然だろうけれども。でも、デイヴィッド・リンチももしかしたら"The Long Goodbye"を読んだのかも・・・ってこれは勘繰りすぎだな。読んだ/読んでないに関わらず、マルホランド・ドライヴはハリウッドを俯瞰するロケーションに実在する道路だから、それをあの映画で使おうという発想は(ありがちとは言わないまでも)出てくるものなのかも。
  • P.445に「井戸」という言葉が出てくる。もうハルキストであればビンビンに反応せざるをえない単語(後述)。豆余談だけど、井戸って"Well(良い)"だよね。なぜかちょっと気になってあらゆる言語で引いてみたの。そしたら、【井戸(日)】---English(英)-Well、French(仏)-Bien、German(独)-Gut、Spanish(西)-Bien、Russian(露)-Ну、ItalianItalian(伊)-Bene、といった具合に、ほとんどの言語で「良い/上手な」っていう意味があるらしいのだ。まあこういうの調べるのは大学生にやらせればいいのでここらへんにしておきます。
  • P.515に、マッテマシタの名ゼリフ、「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」がきます。本文中の言によればこれはフランスの言葉だそうですが、俺には于武陵(うぶりょう)の漢詩『勧酒』の井伏鱒二訳「コノサカズキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ 花ニ嵐ノタトヘモアルゾ サヨナラダケガ人生ダ」がじわっと浮かんできました。どちらもとてもせつなくて深い「さよなら」の言葉ですね。

とまあ、主なのはこれくらいで。ポスト・イット全部挙げてたら歳が暮れちゃうくらい時間がかかりそうなので勘弁して下さい。



ここから余談ですが、巻末の清水俊二の「あとがきに代えて」に、ロバート・アルトマン監督の映画「長いお別れ」について書いてありました。俺はまだ観てないんですが、これによると、映画版だと主人公フィリップ・マーロウはネコを飼っている設定なのだそうです。これは小説との差異です。で、なんでこんなことを俺が書いているのかというと、この映画版に登場するネコは事件のあいだにいなくなるというからなんです。本当にハルキスト向けの文章で申し訳ないんですが、「猫がいなくなる」、これ、ビンビンきませんか? そうです、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』です、これも話の中で猫がいなくなりますよねー。勘繰りもたいがいにしろよと言われそうですが、もっと言えば前述の「井戸」だって『ねじまき鳥クロニクル』でかなり重要なもんでしたよね。それから、途中でマーロウが殴られ、頬に跡ができるところ。『ねじまき鳥クロニクル』の主人公オカダトオルも(こちらは原因不明だけれど)頬にあざができちゃうんですねー。これって。。。まあいいや、誰か文学部で比較文学とか専攻していて卒論のテーマがなかなか決まらなくて困っている学生に提供します。(丸投げとも言うw)

おまけにもひとつ余談ですが、フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)の"The Great Gatsby"はこちらで無料で読めます(英語)。著作権が切れているのって、いいね。作家が亡くなってそれだけ長い時間が経ってもまだ、読みたいっていう人や誰かに読ませたいっていう人がいるんだからね。日本文学だと青空文庫が著作権フリー電子テキストの老舗になるんですかね。「文豪」って言われる作家の作品はたいてい揃ってますもんね。あと関係ないけど、「文豪」っていうワープロと「書院」っていう・・・・・・(省略されました 全て読むにはチョムゲを飲みに誘って下さい)

2009年5月14日

映画「ノルウェイの森」松山ケンイチ、菊地凛子ら、それと『1984』を無料で読めますよっていう情報

どうなることかと思っていましたが、いいんじゃないでしょうか。とりあえず配役は。

菊地凛子というと「バベル」での女子高生役が思い浮かびます。あれから少し経ったので、直子役をやるくらいになったとすんなり思えます。ワタナベ役の松山ケンイチにしても「人のセックスを笑うな」で大学生役を観たばかりな(気がする)のでこれまたすんなり、しっくり。緑、永沢さん、レイコさんもまともなキャスティングのような気がします。

『1Q84』が売れたら(たぶん売れる)、『ノルウェイの森』の映画化もいい成績になるだろう。本は世界中の言語に翻訳されて出版されてたぶん売れる、映画もたぶん売れる。

しつこいようですがチョムゲはかなり期待しているのです。両方とも。とにかくまずは『1Q84』です。これにかかってます。



ここからチョムゲブログ名物の「余談」ですが、

チョムゲブログ: 1Q84 (ich-kew-hachi-yon)とカラマーゾフの兄弟で、このタイトルはジョージ・オーウェル『1984』と関係あるのかな、と書きました。気になったのでAmazonを覗いてみたら、入荷待ち状態になっていました。『1Q84』が届く前に読んでしまいたい本がまだ何冊か残っていて(たぶん間に合わないと思うんですが)、それどころじゃないと思ってまだ買っていません。で、「フンフンフーン」とわけのわからない鼻歌を歌いながらネットをしていたら、『1984』って、もう無料公開されてることを知りました。(http://www.george-orwell.org/1984/)←なんか、すごいっすね。www.ジョージ・オーウェル.orgですって。

なんか1Q84とか1984とかごちゃごちゃ言って申し訳ないですね。興味のない人からしたら「知らんがな」ですね。わーわー言うております・お時間です・さようなら。

2009年4月29日

町長選挙


『イン・ザ・プール』(記事)、『空中ブランコ』(記事)に続く、奥田英朗の精神科医・伊良部シリーズの第3弾。

4つのおはなし。(所収順)
  • 不眠症と暗所・閉所恐怖症の新聞社プロ野球団オーナー、ナベマンこと田辺満雄の話「オーナー」
  • 平仮名が思い出せなくなったIT長者、アンポンマンこと安保貴明の話「アンポンマン」
  • 若さと美貌への執着が病的になった歌劇団出身女優44歳、白木カオルの話「カリスマ稼業」
  • 離島での熾烈な選挙戦に巻き込まれた都庁職員、宮崎良平の話「町長選挙」

3つは誰でも容易に想像できちゃう実在の有名人がモデルだろうなってことで、基本、シリーズに連綿と通底する伊良部節。ニヤニヤしながら安心して読める。表題作「町長選挙」のモデルは人物ではなく島だ。ページ数も多めに割いてある。この短編集で異色といえば異色である。でも期待通りどれもおもしろかった!



印象に残ったのは伊良部の「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」っていうバカボンのパパばりのあっけらかんとした一言。これが伊良部の真骨頂かも。シリーズを見渡しても、ちらほらとそういうシーンがある。いちばんわかりやすいと思うのは、
『空中ブランコ』所収「女流作家」P.279
「先生、お医者さんの無念って何ですか?」愛子が聞いた。
「そりゃあ患者さんが死ぬことだよ」伊良部が鼻に皺を寄せて言った。
 そうか、医療の現場は人の死と直面するのか。安易に想像するのが失礼なほどの、大変さだろう。
「医局員時代、ぼくは内科にもいてね。小さな子供が治療の甲斐もなく亡くなると、担当したみんなが泣いたね」
 そうだろうな。胸が張り裂けるとはこのことにちがいない。
ってあたり。曲がりなりにもこいつは医者なんだな、と思う。思うけど、そのあとすぐに伊良部節が炸裂する。
「弔いのカラオケをやろうって誘っても、みんな乗ってこなかったもんね」



それから、まさか「レクター博士」という言葉が飛び出すとは思わなんだ。(チョムゲブログ:レクター博士)一瞬考えたあと、ああそうか、伊良部もレクター博士も「精神科医」だったわ、って思い出した。

綺麗なので3冊並べておきますね。

うん、いい眺めだw



ここから余談です。『空中ブランコ』の記事で書いたように、文庫化されるのを待つつもりだったんですが、たまたまブ○クオフをぶらぶらしていたら単行本の方があったので買ってしまいました。そして直後に文庫版が出て、あちゃー、と。単行本を中古で買うのと、文庫本を新品で買うのはだいたい同じくらいの価格だったなとか、『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』と文庫で読んだんだから『町長選挙』も文庫を待てばよかった(表紙がシリーズを通じて統一された赤ちゃんのデザイン)とか、後から言ってもはじまらないことばかり思いました。なら単行本売っちゃって文庫版買いなおせよってなりますかね? なりませんよね。まあいいや、中身は一緒だから・・・って、中身が一緒で価格が一緒なら中古でなく新品を・・・とか、つるピカハゲ丸くんか俺はw。

葉桜の季節に君を想うということ


たとえばCDをジャケ買いするように、小説のタイトルだけ見て買うっていうこともあるよね。なんて呼ぶかわからないけど。俺がこの歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』を手に取った理由の一つではある。で、桜が散った頃に読もうと思っていた。で、読んだ。けど。

「やられた!」感のあるミステリーとしてはけっこう知名度は高いよう。確かに最後の方はあちゃーやられたってなった。タイトルさえも仕掛けだったのかとかさ。でも。

主人公の、ハードボイルド気取りの言葉とか行動がちらほら出てきて(たとえば女関係とか)、でもなんだか(幼稚とか中二病とは言わないけど)若気の至り的な考え方だなぁと思いながら読んでた。パッと見、かっこよさそうで、でもどこかかっこよくないんだよね。・・・とかっていうのもすべて作者の意図だったのかしらと今になって思う。たぶんそうなんだろう。しかし。

ミスリードに最重点を置いて、それに賭けた感は否めない。それでミステリーのその分野としては、賭けは成功してる。賞もいくつか獲ったらしいし。それ以上望むんじゃねえよ、欲張んなよ、他当たれよ、お門違いだよ、こっち見んな、って言われたらそりゃそうなんだけど、やっぱり物足りませんでした。正直。

ということで、読もうかどうしようか迷ってる方には、この『葉桜――』ではなくて、我孫子武丸『殺戮にいたる病』の方を推しておきます。両方読んでもOK牧場だけど。「やられた!」感のものさしで測れば『殺戮――』。ってことで勘弁してください。