2010年8月21日

ウランバーナの森


人は何を隠して生きているのだろう。みせかけの笑顔の奥に、何を封じこめて毎日を送っているのだろう。のぞかれたくない胸の内。見ないふりしている真実。「しあわせ?」と聞かれれば嘘でも「しあわせ」と人は答える。それはまるで、そうありたいための自己暗示のようなものだ。
けれどそれのどこが悪いというのか。うぬぼれと思い込みがなければ、人生はつらいばかりじゃないか――。(本文より)
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主人公の名前がジョンで、世紀のポップスターとか書かれてたらさ、もう「あのバンドのあの人」って思っちゃうよ。そしてそれは本書巻末の「文庫版へのあとがき」および「解説」にて肯定されますので、それについては読んでもらうとして、『ウランバーナの森』というタイトルに関してちょっとお話を。(ネタバレしない範囲で)


ジョンっていうからには、ビートルズ「ノルウェイの森」とつながりはあるのかなー、なんて思って読み始めたわけです。で、読み終わってみると、この本の内容からだけだと、作者がそっちに無理やりこじつけようとしてるようには感じられなかった。(「ノルウェーの森」って言葉じたいは登場することはするんだけど。)むしろ、ある「盂蘭盆会(うらぼんえ、いわゆるお盆です)」の時期に軽井沢の「森」で起きた(神秘的で"便秘的なw")出来事だからウランバーナの森ってタイトルだよ、っていうだけの説明のほうがすっきりしっくりくる感じでした。

ただし、この本以外を参照するとなると、すこし事情が変わってくる。ま、何の本を参照するのって、当然、村上春樹『ノルウェイの森』なんですけど(笑)。というのもね、『ウランバーナの森』冒頭の1シーンが、『ノルウェイの森』冒頭の1シーンと、びしっと相似だ、と思ったからなんです。


  • 『ウランバーナの森』では、主人公が、彼の心の傷になっているとおぼしき女性の声を聞いて取り乱すシーン。これが物語の引き金になります。
  • 『ノルウェイの森』では、主人公が、飛行機の中で「ノルウェイの森」を聴いて取り乱すシーン。ここから回想が始まるわけです。

や、たしかに、この程度の似かたは導入にありがちなのかもしれません。でもどっちも、「外国人女性」に「気分が悪いのか」って訊かれてるのって、ありがちじゃないと思う!

で、いったんそっち方面(導入の似ている小説)でつなげたら、本書タイトル『ウランバーナの森』とビートルズ「ノルウェイの森」がつながった、ということです…。


・・・もうお盆休みは終わっちゃったみたいなんで、このタイミングでこの本を紹介すんのもちょっとアレだったかしら?(笑)


ここから余談ですが、
読み始め、登場人物のひとりである精神科医が、伊良部シリーズの伊良部医師にダブってしょうがなかった。ぜんぜん違うキャラだし、こっちがデビュー作だから順番も逆なのにw。俺が奥田英朗の小説はそっちから入っちゃったからだなきっと。

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